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活動内容

タンザニア ママ・ナ・ムトトプロジェクト 活動進捗報告No.12 (2024年12月) ~母と子の安心・安全な出産環境を目指して~

ママ・ナ・ムトトプロジェクトでは、出産のときにお母さんと赤ちゃんの健康状態を観察するための機器「分娩監視装置(以下、CTG)」を用いた分娩期のケアに取り組んでいます。CTGTAHO傘下の分娩数が多い3病院に導入しました。2024年2月まで、雨宮春子元ワーカー(助産師)が、各病院で装置の操作方法や健康状態の適切なモニタリングについて指導してきました。お母さんの陣痛の強さや頻度、赤ちゃんの心拍数などを継続的に観察することで、安全で安心な出産を支援することができます。

2024年度は、分娩期のケアにCTGを継続して活用するため、各病院のスタッフを指導するトレーナーを育成することを目的に、ママ・ナ・ムトトプロジェクトの活動を続けています。

2023年度にJOCS奨学金で看護師になったシスター・マリアゴレスにインタビューをしたときのことです。

「聖ヨハネ・パウロ2世病院では、CTGのスタッフ研修を実施しています。分娩室担当のスタッフは全員CTGを使用できるようになりました。しかし、赤ちゃんが生まれる直前の段階や状態の良くない妊婦には使用していません。胎児心拍だけを簡単に観察できる機器があるので、それを使っています。胎児心拍だけでなく、陣痛の状態も観察できるCTGの方がよいことはわかっていますが。」と言われ、CTGが十分に活用されていないことがわかりました。

ンダラ病院のスタッフからは、CTGで表示される波形から胎児の心拍や陣痛の状態を正確に読み取ることができない、という声もありました。そこで、雨宮元ワーカーからトレーナー研修を受けた3病院のスタッフ10名を対象に、すでに習得した知識やスキルを再確認するための研修(リフレッシャーコース)と、さらに知識とスキルを深める研修(アドバンス研修)の2段階に分けて研修を実施しました。

前者のリフレッシャーコースは、参加者10名が2グループに分かれて、参加者自身が講師となって実施されました。クイズやディスカッション等でそれぞれの知識やスキルを共有し、復習しながら基礎を正しく理解することを目的としました。

後者のアドバンス研修は、タンザニアの基幹病院であるブガンドメディカルセンターで、同じく2グループに分かれて、分娩室での実習とケーススタディを中心に実施されました。専門医による理論の説明と実践的な演習、参加者全員によるグラフの波形解釈のディスカッションはとても効果的で、理解を深めることができました。


研修の最後に、アンケートを実施しました。参加者が考えている今後の取り組みの一部をご紹介します。

◆病院の管理者とスタッフに今回の学びをフィードバックします。そして母子保健スタッフが適切な胎児心拍管理と出産計画と診断ができるように、CTGを活用した効果的な分娩管理をするアクションプランを作る予定です。(聖アンナ・ミッション病院 看護助産師)

◆妊娠期の母子を助けることが第一の目的。そのためにCTGを使った適切な分娩期の管理を実施して、病院にくるすべての妊婦と胎児の状態をモニタリングしたいと思います。この研修を通じて、判読力が向上したので、学んだことを用いて母子の健康状態を観察していきたいです。(ンダラ病院 看護助産師)

◆分娩期のすべての妊婦に対してCTGを使用し続けることを目指し、毎日知識と技術を磨く努力を続けたいと思います。そして母子が安全かつ安心してサービスを受けるために、CTGを正しく活用して、早期の診断と適切なケアを実践できるように、同僚に知識と技術を共有したいと思います。(聖ヨハネ・パウロ2世病院 看護助産師)

 

参加者は、各病院で分娩を担当するスタッフにトレーニングを実施していきます。全スタッフの技術が向上し、適切なCTGの活用によって、赤ちゃんが健康に生まれてくる環境が整い、新生児死亡の減少につながることを期待します。