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08年度総主事通信⑦

2008.11.04

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今月のコメント

●世界子供白書2008 「子どもの存在(Child Survival)」
 「1960年の時点で、5歳の誕生日を迎えることができなかった子どもの数は、約2000万人。より確実な推定値が揃っている2006年度の子どもの死亡数は1,000万を切り、記録をとり始めて以来初めて、970万人となった。
 ・・・これらの目的を達成するために、主要な決定権を握る人たち(政府、コミュニティ、ドナー、国際機関、非政府組織<NGO>、民間セクターで共に働く人たち)は、妊産婦と子どもの生存と保健を支援するために、パートナーシップのもと、行動をひとつに統合(UNITE)する必要がある。共に力を合わせれば、妊産婦、新生児、子どもたちが、品質の高い基礎サービスを受けることができ、健康・栄養状態の改善を図り、世界中が子どもの生存を中心に置きながら、人間性のある前進のために努力することが可能となる」(同白書より)

 “Child Survival”は、私たち大人のSurvivalでもあります。そして子どもの生存が「人間性のある前進」に欠かせないというメッセージをしっかり、しっかり、しっかり心に刻まねばなりません。

●リオ・サミット(1992) 伝説のスピーチ by セヴァン・カリス・スズキ
 今から16年前。ブラジル・リオデジャネイロで開催された開発と環境に関する国際会議(環境サミット)に集まった世界の指導者を前に、当時12歳のセヴァン・スズキさん(日系カナダ人)は語りました。それは「リオ・サミット伝説のスピーチ」と呼ばれています。以下はそのほんの一部ですがご紹介したいと思います。

「・・・どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。・・・もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球はすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもだけどこのことを知っています。 
 学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世のなかでどうふるまうかを教えてくれます。たとえば、

 * 争いをしないこと   * 話しあいで解決すること   * 他人を尊重すること
 * ちらかしたら自分でかたづけること  * ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
 * 分かちあうこと  * そして欲ばらないこと

 ならばなぜ、あなたがたは、私たちにするなということをしているんですか。・・・」(リオの伝説のスピーチより)

 12歳のセヴァンさんの真髄を突いた鋭い問いかけと叫びに答えることができる大人が何人いるでしょうか?たった一人の子どもが世界を動かす、の実例です。真実が持つ力、に心打たれます。

●「ペシャワールにて 癩そしてアフガン難民」(中村哲著:石風社)より
 「1984年5月25日、私はパキスタンのイスラマバード空港に降り立った。JOCS(日本キリスト教海外医療協力会)より派遣され、パキスタン北西辺境州のペシャワールで医療協力を行うためである。私の主たる任務は、この北西辺境州政府の“らいコントロール計画”に民間側から強力な側面援助を撃ち込むことにあった。・・・ペシャワールについて語ることは、人間と世界について総てを語ることであるといっても誇張ではない。貧困、富の格差、政治の不安定、宗教対立、麻薬、戦争、難民、近代化による伝統社会の破壊、およそ全ゆる発展途上国の抱える悩みが集中しているからである。悩みばかりではない。我々が忘れ去った人情と、むきだしの人間と神に触れることができる。我々日本人が当然と考えやすい国家や民族の殻を突き破る、露骨な人間の生き様にも直面する。」(同書より)

 パキスタン、そしてハンセン病。中村哲医師の運命の出会いがそこにありました。今かの地では日本人は中村哲氏一人かもしれません。しかし何千何万のアフガンの仲間達がいます。その関係はゆるぎないものです。
 JOCSは、今2人目のパキスタンワーカーとして小児科医の青木さんを派遣しています。もちろん二人のワーカーは異なります。青木さんは幼子の命を守る、その最前線にいて、静かな熱い闘いを繰り広げています。