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ワーカーの派遣、協働プロジェクトと並び、JOCSの活動のもう1つの柱となるのが奨学金事業です。保健医療を学びたいと願う人たちに奨学金で支援することで、その地域の保健医療レベルの向上に協力しています。
アジアやアフリカの国々では、都市部と地方の経済格差が大きく、地方の病院から都市部への人材流出が問題となっています。JOCSでは、地元にとどまり、その地域の人々のために働きたいと願う人を奨学生として選びます。 2024年度合格の奨学生はこちら
毎年1回のレポート提出や、現地モニタリングでの対面ヒアリング、JOCS会報「みんなで生きる」で紹介するためのメッセージ執筆などを通して、奨学生とのつながりを大切にしています。奨学金事業近況
(インドネシア/シナルカシ病院) 2023年~2028年奨学生
私は、2023年1月から内科専門医の資格取得を目指し、JOCSの奨学金で学んでいます。
フリッツさん(右)
私が生まれ育ったテンテナでは、1998年に大きな宗教紛争が起き、数万人が避難民となりました。私の家族も避難民でした。子どものころ、病気で苦しむ人々の姿を見て医師を志しましたが、家が貧しく、医学部に進学することを諦めていました。しかし幸いにもシナルカシ病院長の推薦を受けてJOCSの奨学金に合格し、医師への道が開け、2007年に医学部に進学しました。
2017年に医師としてシナルカシ病院に戻りました。その後、2019年に病院長が定年退職を迎えたため、私は病院長を引き継ぐことになりました。質の高い医療サービスを人々に提供することができるように努めてきました。しかし、専門医が産婦人科医1人だけであったため、十分な診療を提供することは難しい状況でした。シナルカシ病院の内科診療は、同じ州にある政府病院から非常勤の医師が週2回、午後の数時間だけ担当しています。しかし、それでは十分な医療サービスを提供することはできません。常勤の内科の医師がいれば、病院の医療サービスは格段に向上することは明らかです。
そこで私は、最も患者数の多い内科の専門医資格を取得するために、再びJOCSの奨学金に応募し、学ぶ機会を得ることができました。学業に専念するため、2022年12月に病院長職を退き、私と同期のマディ医師に引き継ぎました。
近年、インドネシアでも慢性疾患の患者が増えています。内科医としては糖尿病や高血圧などの生活習慣病に関する研修はとても重要です。現在学んでいることは、シナルカシ病院の医療サービス向上に必ず役立つと信じています。そしてそれを通じて、一人でも多くの人々がイエスキリストの愛を体験できると信じています。
皆さまのあたたかいご支援に感謝いたします。シナルカシ病院を受診する患者は、過去に起きたキリスト教徒とイスラム教徒間の紛争の記憶から、他の地域から来た医師の診療を受けたがりません。テンテナ出身の医師の診療を受けたいと願う住民の健康を守るために、さらに高度な技術を身につけていきます。
(バングラデシュ/カイラクリ・ヘルスケア・プロジェクト)2022年~2024年奨学生
私は14歳の時、両親によって結婚させられました。夫の家族には収入を得る者がおらず、結婚後に家計が非常に厳しいことを知りました。カイラクリ・ヘルスケア・プロジェクトの『貧しい人々による、貧しい人々のための医療』に共感し、17歳の時から働いています。団体を創設した故ベーカー医師から指導を受け、糖尿病棟や産科で働いていましたが、当時は医療従事者としての資格はありませんでした。14歳で結婚した私は、医療専門学校の進学に必要な中等学校の卒業資格もありませんでした。しかし、私たちは医療資格を取得するように政府から求められています。私は32歳で中等学校の卒業資格を取得し、2022年にはJOCSの奨学生に合格することができました。プロジェクトで働きながら、パラメディック(※)の研修を受けました。
研修中、プロジェクトのクリニックを受診したある妊婦は、逆子で出産を迎えることになりました。通常であれば、緊急帝王切開が可能な病院に搬送するべき状況でしたが、移動中に出産してしまう危険がありました。そこで、研修で学んだ知識を活かして、普通分娩で母子のいのちを守ることができました。この経験に、心から神様に感謝しました。
奨学金で私の学びをお支えくださった皆様、本当にありがとうございました。
(※)医師ではないが、農村地域において、複雑でなく、頻繁に起こる病気の診断と治療および妊娠出産時のサポートをおこなう職種
(ネパール/オカルドゥンガ・コミュニティ病院)2022年~2024年奨学生
私は、看護師の資格を取得した2009年からオカルドゥンガ病院で働き始めました。
パビータさん(左)
その後、2019年に当時の看護部長が退職したため、看護部長職を引き継ぎました。2021年にJOCSの奨学金に応募したときは、病院を100床に増床する計画があり、看護部長職を務めるためには修士号が必要でした。奨学金で資格を取得するチャンスをいただき、本当にうれしく思っています。
学校では、成人看護学を専門的に学びました。さまざまな病院での臨床研修を通じて、個別看護の実践に加え、チームとしておこなう看護管理についても学びました。修士論文では、成人看護学をテーマに選びました。その理由は、ネパールの僻地では多くの高齢者が取り残されており、適切な医療サービスを受けられていないという実態があるからです。
いくつかの異なる病院での臨床研修で学んだことは多く、それをオカルドゥンガ病院にどのように活かせるかを常に考えていました。看護部長になった2019年当初は、同じ立場で相談できるスタッフがいませんでした。しかし、学校で多くの仲間に出会い、相談できる同志ができたこともまた大きな財産となりました。
2024年4月に学びを終えて、看護修士号を取得しました。2024年5月に復職し、再び看護部長を務めています。病院にはさまざまな技術レベルの看護師が働いており、その能力に応じて職務を割り当てることが求められます。個々の適性を見極めることは難しいと感じています。また、僻地ゆえにほかの地域から看護師を雇用しても、長期的に勤めてもらうことが難しいという課題もあります。これは簡単に解決できる問題ではありませんので、祈りが必要だと感じています。
今後、病院の看護ケア向上のために取り組んでいきたいことが3つあります。1つ目は看護スタッフの能力強化、2つ目は感染予防と管理の実践の強化、そして3つ目が看護チームスピリットを高めることです。オカルドゥンガ病院の保健サービスの質を向上するために、これらは欠かせない要素だと考えています。
私がこのような働きができるのは、JOCSにつながる皆さまのご支援の賜物です。学びの機会をくださり、本当に感謝いたします。これからも病院のため、そしてオカルドゥンガに住む人々の健康を守るために仕えていきたいと思います。
(ウガンダ/SRDルワサンデ診療所)2021年~2024年奨学生
日本の妊婦健診では一般的な超音波検査は、ウガンダでは限られた医療施設でしか受けることができません。たとえ超音波検査機があったとしても、操作ができるスタッフがいない場合もあります。南ルウェンゾリ教区の医療施設の一つ、ルワサンデ診療所には、外国の支援で供与された超音波検査機がありますが、それを使って検査できるスタッフがいませんでした。
私は、2021年からJOCSの奨学金の支援を受けて、超音波検査の技術を身につけるための研修を受けました。
以前は、超音波検査を受けるためには、町の中心地まで行かなければなりませんでした。ルワサンデ診療所は町の中心地から車で1時間かかり、その半分は舗装されていない山道です。町へ行くこと自体が経済的な負担となり、たとえ超音波検査を受けたとしても、診療所に戻らず村に帰ってしまう人が多く、その中には病状が悪化してしまう人もいました。技術を身につけようと政府主催の超音波検査研修を受講しましたが、内容は基礎的なもので資格は得られず、実技もできませんでした。首都のカンパラにある学校に進学して実技を学びたいと思いましたが、高額な費用がかかります。そこで学費の一部でも支援してもらえたらと願い、JOCSの奨学金に応募しました。
奨学金に合格し、願いを聞いてくれた神様に心から感謝しています。医療従事者としての働きは、給料を得る以上のものがあります。超音波検査で妊産婦のいのちが救えたとき、そのよろこびは言葉では表しきれません。ルワサンデ診療所は、山々に住む3,000人の女性たちのいのちを支えています。一人でも多くの女性が安全に出産を迎えることができるように、これからも診療所と地域の人々に仕えていきたいと思います。
(タンザニア/TAHOンダラ病院) 2020年~2023年奨学生
私は、2023年9月に看護師助産師の資格を取得し、ンダラ病院に復帰しました。現在は分娩病棟で働いています。
研修前は、ンダラ病院の看護助手として働いていました。患者と接する機会はありましたが、資格がないため、直接患者を助けることができませんでした。その経験から、次第に看護師になりたいという思いが強くなりました。看護ケアや助産の技術を身につけて、1人でも多くの患者を助けられる存在になりたいと考え、JOCSの奨学金に応募しました。
研修では、普通分娩の手技をきちんと学ぶことができたことが一番大きな学びであり、よろこびでした。分娩の手順を学んだことが、現在勤務している分娩病棟で活かされています。
また、ママ・ナ・ムトトプロジェクト(TAHOとJOCSの協働プロジェクト)の研修では、新生児蘇生法(※)を学びました。人形を使って今も毎日練習しています。赤ちゃんや母親の健康状態を観察する分娩監視装置(※)も使えるようになりました。重い症状の患者さんが入院したときは、丁寧にコミュニケーションをとって、良い関係を築き、ケアの内容を理解してもらうことができました。その患者さんが回復したときは本当にうれしかったです。
JOCSの奨学金を受けて、私の人生は輝きました。全く知識がなかったところから、看護師助産師の資格を得て、今では看護や助産の技術を人々に提供できていることにとても満足しています。
支援くださった皆さまのあたたかいお気持ちに感謝します。皆さまに神様の祝福が豊かにありますようにお祈りいたします。
(※)新生児蘇生法や分娩監視装置の研修は、JOCSとTAHOが協働で実施した母子保健プロジェクト『ママ・ナ・ムトトプロジェクト』の活動の一つです。
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