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09年度総主事通信③

2009.07.01

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今月のコメント

●光明園家族教会-ハンセン病特効薬プロミン-石館守三(JOCS初代会長)
 6月21日~27日は、「ハンセン病を正しく理解する週間」でした。
 邑久光明園にある家族教会の「光明園家族教会85年記念誌」(1998年発行)を紐解く機会がありました。
 同教会の創立は1912年(大阪の外島保養院内)に遡り、34年の室戸台風により大きな被災によって入居者の方々は全国各地の療養所に分散、38年に岡山県邑久の光明園へと移転し、光明園家族教会となります。
 その後、49年に同教会は日本基督教団に加盟しました。49年と言えば、ハンセン病の特効薬プロミンが使用されて治療における画期的な変化が起こった年です。
 38年は「中国難民救済施療班」。49年は「日本キリスト者医科連盟」創立、という節目の年でした。激動する時代にJOCSへ繋がる動きがありました。プロミンを開発した石館守三氏は、JOCS初代会長(60-72年)です。石館氏(東大薬学部初代学部長)は、日本の薬学会のパイオニアであり、国内の多くの患者を救ったキリスト者でした。その系譜に連なるJOCS、日本のハンセン病患者の方々の奪われた日々と命の重みを思わされます。

●世界難民デー(6月20日)-
  “No Home, Yes Hope”(まだ、帰えるところはない。でも、希望がある)
世界の難民1139万人、国内避難民2027万人 計約3167万人(UNHCR:国連高等難民弁務官事務所)
「あなたにとっての『No XX, Yes ○○』はなんですか?十人十色、ひとりひとりのHopeを集めて、世界を希望の言葉で繋いでいきましょう!世界はきっとひとつになれるはず」(UNHCRのHPより)

 さて、「母国での迫害から逃れてきた人々。彼らは、ここ日本でも、再び苦しんでいます。」(難民支援協会)
 私の友人が関わるNPO難民支援協会からの緊急アピールです。世界の難民はクローズアップされても、日本に滞在する身近な難民や難民申請者には目が向きません。いくつかのメディアが取り上げたものの巷の話題には上りません。在日・滞在の難民や難民申請者に対して「鎖国に近い島国・日本」の現実です。

「日本での難民申請は10年前の10倍以上と急増しています。
 それに伴い、申請者への唯一の公的な生活支援金『保護費』の予算が不足したため、政府は、支給対象者を半減させることを決定しました。月100人以上の難民が支給を打ち切られる見込みです。
すでに支援団体へは難民から、「家賃が払えず自宅を出るよう通告された」、「食べるものがない」、「子どもを抱えているのに生活の手段がない」など多くの切実な声が寄せられています。難民申請期間は平均2年以上におよび、その間多くの難民が働くこともできず、健康保険にはいれず、生活保護も受けられません。
 私たちは難民にとっての最後の砦となりたいと考えています。どうか何とか最低限でも「人」らしい生活を送ることができるよう・・・」(同協会HPより) URL:http://www.refugee.or.jp/

●飢餓・失業・・・経済のグローバル化と命の格差、というボーダーレスな問題
 ILO(国際労働機関)は、「09年の世界の失業者が08年に比べ最大で5000万人増加し、2億3900万人に達するとの予測」(2009.5.28)をしています。FAO(国連食糧農業機関)は、「世界的な経済危機や食料価格の高止まりの影響で、十分な栄養が取れない世界人口が2009年に、前年比1億500万人増え、10億2000万人になると予測」(2009.6.19)と報告しています。それは世界人口の約7分の1が飢餓状態にあることを意味します。グローバル経済の影響は人々の生活と命を直撃しています。地球市民である私達一人ひとりの責任です。

 さて、我が日本は?非正規労働者の派遣切り・難民申請者の保護費切り・生活保護の母子加算廃止・外国人研修生・労働者や障がい者の解雇などなど、暮らしを脅かす事柄に枚挙の暇がありません。母子加算打ち切りについては専門家も「貧困が固定され、抜け出せなくなる」と指摘しています。
 「『アニメの殿堂(国立メディア芸術総合センター)』のお金(117億の建築費―09年度補正予算)があれば、なぜ生活保護家庭の母子加算に戻してあげないのか」という民主党・鳩山代表(09.6.17の党首討論)の批判にうなづきます。途上国だけでなく、国内の女性(母)と子どもの「貧困」という状況を、私達は看過できません。

 この国は一体どこを、誰を見て、誰のために、何をしようとしているのでしょう?
 グローバルかつローカルなレベルでの「命の格差と軽視」は、ボーダーレスなゆゆしき問題です。