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10年度総主事通信⑥

2010.10.06

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今月のコメント

●ブラザー・ロジェ~テゼ共同体の創立者

 50周年感謝礼拝とリトリートにご奉仕くださったブラザー・フランクは、バングラデシュ・テゼ共同体のブラザー(修道士)です。テゼの創立者であるブラザー・ロジェとテゼのことを少しご紹介します。

 「ブラザー・ロジェは、キリスト者たちの間にある分裂を癒す道を開くために、またそのキリスト者たちの和解を通して人類家族の間にあるすべての対立を乗り越えるために、テゼ・コミュニティを創立した。・・・一人また一人とブラザーたちが彼に加わり、1949年、その群れは正式にテゼ・コミュニティ(修道会・共同体)となり、・・・1950年代から、数人のブラザーたちが世界の様々な地域に出かけ、そこで平和の証となり、その地域に生きる人々の苦しみを共に担うために生活している。・・・1957年以降、青年たちが続々とテゼを訪れるようになった。・・・これらの人々は、1週間単位で繰り返される集いに参加し、35から70もの異なった国籍の若者たちと生活を共にする。6,000人もの人々が同時に生活を共にする週もある。
 ・・・彼ら(世界に散らされたブラザー)一人ひとりが置かれているそれぞれの町や村や教会で、小さな子どもから老人まですべての人々と共に、平和を創り出す者、和解を運ぶ者となるようにと青年達を励ます・・・」(「祈り~信頼の源へ」:マザー・テレサ、ブラザー・ロジェ著/植松功訳/サンパウロ)

 「・・・『キリスト者に与えられた神の招きは実に素晴らしく、それを捨てることはできない』と。この、捨てることができない神の招きとは何でしょうか。それは他者への責任です・・・」(同上 ブラザー・ロジェ)

 他者の痛みを分かち合うことは、他者への責任であり、共に生きることであり、「神の招き」です。ちなみにテゼ創立の1949年はJOCSの親・日本キリスト者医科連盟設立の年。そして、神と貧しくされた人に仕える人生を選んだ一人の青年ブラザー・フランクとテゼとの出合いは1960年、JOCS創立の年でした。

●“旅”と“他火”~仙台青年学生センター(通称:エマオ)にて

 仙台JOCS主催「ブラザー・フランクを迎えて」に参加しました。エマオはバングラデシュ・マイメンシンを訪れる旅を過去10回続けており、当日はブラザー・フランクとの再会を願う多くの若者達が集いました。その素晴らしいつながりに、こちらもとても嬉しくなりました。もう1つ素敵な発見がありました。エマオ主催のバングラツアー写真集にあった1枚の白黒写真(メンバーが現地の子を抱いている写真)とコメントです。

 「・・・(子どもは)抱かれたい、抱かれると離れられない。子どもは私達の性格や過去を問わない。国籍や能力を問わない。ただ目の前にいる人の与えられる限りの温かさがほしい。そのような無条件の愛に触れることの多い旅だった。
 昔の人はお米をもって出掛けたと言う。道中、人の火を借りてお米を炊いたと言う。『旅』はもともと『他火』と書き、『他の人から火をもらうことを意味する。この子供の笑顔などが私達にとっても『他火』であった。 アジアの人々から火をもらって帰ることができた。」(写真とコメント/ジェフリー・メンセンディークさん)

 私達が途上国の貧しさに出会う旅をするとき、人々の豊かさ、という恵みを頂きます。私達が、つい置き去りにし、失っているものにハッと気づかされ、魂の渇きを潤してくれる豊かさです。生きていることの手応えを得る、そのような旅がある。だから、人々は大切な宝物を探しに、アジアやアフリカに出かけます。

●地の平和/天からの声~“チリ鉱山事故”と“星の生産工場”

 先ず、地上(底?)でのお話です。
8月の南米チリの鉱山事故から1ヶ月後、初めてテレビ電話でつながった家族の第一声は「愛している」でした。作業員の一人に女児が誕生した時、その名は「希望(エスペランサ)」と名づけられました。また完成した救出カプセルは「不死鳥(フェニックス)」と命名されました。寒さのなか地上でテントを張り、救出を待つご家族もいます。その絆の深さに、愛・希望・復活、そして「地の平和」というメッセージを受取ります。

 次に、地上ではなく天上のお話です。
 「国立天文台と東京大学などの国際研究チームは29日。80億光年以上離れた宇宙空間に、星が次々と誕生する銀河を約200個発見したと発表した・・・」(日経 2010.9.30)。“星の生産工場”が200個見つかった、というニュースです。遥か宇宙から眺めると、小さな地球の小さな国の小さな町で、日々起こっている様々な争いは何と愚かでチッポケなことでしょう。どこかで今この瞬間にも誕生する新しい星(命)を思うと、天の高みから、「もう醜い争いは止めて、互いに握手を!!」と求める声が聞こえてきそうです。

 さて、天文学者である妻の伯父曰く、「遠い宇宙の星をキャッチする天体望遠鏡は、それを支える三脚の位置が重要。三脚の軸足が零コンマ何ミリずれても星は捕らえられない」と。地に足を着け、天(そら)を見上げて生きるとき、その立ち位置が重要、またぶれないことが大切なのだと受け止めました。地と天、そして世界との繋がりの接点である自分、その足元から平和を築くことが大事だ、とも気づかされます。