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HOME>ニュース>10年度総主事通信⑦
2010.11.05
今月のコメント
●“祈りと働き”-ブラザー・フランクの人生、つながりと絆 JOCS50周年礼拝とリトリートにご協力頂いたブラザー・フランク(オランダ出身)は、哲学を学び道を求め、卒業後はフランスの超教派男子修道会テゼと出会い、修道士を目指します。1966年、M.L.キング牧師の公民権運動盛んなりし頃の米国シカゴの黒人居住区のレストランで、唯一人の白人として皿洗いをしながら、差別され抑圧されたアフリカ系米国人の人々への働きを始めました。マザー・テレサが語る、先進国の都市部にある「物質的に豊かな国の中の、精神的な貧困~孤独・愛の欠如~」を思い起こします。米国のあとは、マザー・テレサと出会いインドのコルカタでの活動へ。そしてバングラデシュ・日本・韓国での活動を経て、再度バングラデシュへ。 今回の来日は25年ぶりで、旧友との再会に感無量のご様子でした。そして「これが最後の来日」との言葉を残し、離日されました。その波乱万丈の人生。しかし一貫してあるのは、苦難にある人々への慈しみ、“祈りと働き”への献身、シンプルな生き方、茶目っ気とユーモアです。それが、皆を惹きつけます。
「人を愛するためには、その人の近くに来て触れ合う必要があります。」(マザー・テレサ)、 「・・・小さい人、苦しむ人、見捨てられた人たちは、神がおられるしるしだと。ガンジーは言っています。貧しい人に近づき、その人たちと深いかかわりが生まれ、それが『契り』と呼べるまで育つと、神に近づくことになります・・・」(ジャン・バニエ※ 「ラルシュのこころ」/一麦出版社) ⇒※ラルシュの創立者
ブラザー・フランクは、傍らにいて触れ合うことを大事にします。そこに意味あるつながりと絆を見ます。
●“ありのまま”で生きる~有田憲一郎という生き方、山田富也という生き方
JOCS国内活動委員をはじめ、仙台JOCS他多方面に渡り、ボランティアとして協力してくださっている有田憲一郎さん。有田さん(39歳)は生まれながらの障碍と共に生き、その生活にはいつも誰かの手を必要としています。有田さんは23歳のときから、仙台の「ありのまま舎」という障がい者自立支援施設で暮らしていますが、その行動力は凄い!の一言です。その「ありのまま舎」の専務理事であった山田富也さんが、9月21日、「筋ジストロフィーの患者としては、異例の長さである58年を生き」、天に召されました。
「10億円を優に超える資金を集めて、障害者がくらすホームと難病ホスピスを建設。主な編著書が16冊、制作した映画は9本・・・。プロデューサー・経営者として異能を発揮した。 ・・・行動の自由を求めるのは、発想の能力を生かし、世の中の役に立つためと言い続けた。『障害があるから、何かしてもらって当たり前』という考えを嫌った。 ・・・体は小さく縮んでも、旺盛な好奇心、集中力を失わず、『やるべき仕事』を探し続けた。奪われた筋力のかわりに得た、膨大なエネルギーを燃やし尽くした一生だった」(朝日 夕刊 2010.10.30)
山田さんと有田さんの生き方は二重写しです。個々、独自のオリジナルな人生に違いないのですが。 障がいを持つ人を、“Handicapped”や“Disabled”ではなく、“Challenged”(挑戦という使命や課題、挑戦するチャンスや資格を与えられた人)と呼ぼう、と社会福祉法人プロップ・ステーションでは1995年から提唱しています(もとは米国で始まった運動です)。お二人に共通するチャレンジドの精神に私達は勇気づけられます。「あなたは?」という問いと共に。そして教えられます。“ありのまま”で生きる大切さも。
●切手-“命につながるアート”
“切手1枚から始まるボランティア”-JOCSの切手運動は、海外保健医療協力を支える「命」です。 日経新聞の「知られざる切手アート/10選」という連載コラムを興味深く読みました。ジャン・コクトー/「マリアンヌ」、杉浦康平/「第4次ミュンヘン五輪募金」、横尾忠則/「ふるさと切手/神戸と風見鶏」、岡本太郎/「第23回国際眼科学会記念」、レイモンド・ブリッグス/「クリスマス切手」など10点、いずれも奥深く大変ユニークな切手が紹介されていました。切手はイギリスで開発され(1840年)、ヴィクトリア女王の肖像が使われていたそうです。日本初の切手は明治4年(1871年)で、龍の紋のついたもののようです。 「(“ふるさと創生”という)政策がもとで、地域密着型の郵便切手が1989年に発行された・・・」、「国際的または国家的な行事を記念して発行される郵便切手がある。(記念切手)・・・」、「郵便は仕事の書類だけではなく、人と人との心を結ぶ手紙を届ける・・・」などなど。優れた画家やイラストレーターによる切手は、時代や社会を写す鏡であり、バラエティに富む第1級の芸術品の世界だ、としみじみと思いました。
使用済み切手運動は、約160年前にドイツのビールフェルトという町のフリードリッヒ・デュッセルマン神父が、癲癇を患い路上の捨てられていた子ども達の救済に力を尽くしたことから始まりました。そのことを考えると、1枚の切手は、“命につながるアート”であることも教えられ、その意義深さを味わっています。
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