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カンボジア・女性シェルターのクリスマス

2011.01.25

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 12月は年間5回に渡って実施するシェルター・スタッフ研修の最終回や大掃除などがあり、4月がお正月のカンボジアではあるが、シェルターは1年を締めくくり、よき新年を迎えるというムードの月であった。そして、スタッフと入寮者による手作りのクリスマス会。このときばかりは、それぞれが抱える困難を忘れてゲームやダンス、みんなで作った昼食を楽しく平和なときをともに味わった。
 会にはクリスマスケーキも登場。デコレーションケーキを見たことも食べたこともない入寮者たちはクリームで派手に装飾された丸く大きなケーキに釘付け。一方、スタッフたちはケーキの装飾を見て落胆。なぜならば、ケーキ屋さんにいって「ケーキの上に(マジパンで作った)お母さん(マリア)、お父さん(ヨセフ)、そして赤ちゃん(イエス)の人形を飾ってください」とオーダーしたのに受け取ったケーキがオーダーどおりに作られていなかった。2年前も同じようなことがあった。そのときはイエス様が既に大人の姿になっていた。
 そして、今年はとマリアがお母さんというよりも女の子という感じで、ヨセフとイエスは雪だるまの人形だった。言葉を失って立ちすくむスタッフの思いを知る由もないケーキ屋の店員は「とてもきれいに出来ましたよ」と自信満々の表情だった。
 私がケーキを抱えてお店を出ようすると店員が「ちょっと待って?何歳の誕生日?ろうそくを無料サービスします。何本必要ですか?」と聞いてきた。今日は26日だから「26」と応えると「2」と「6」の数字型のろうそくが差し出され、私は落胆するどころか笑い出してしまった。
会が始まりケーキ上に立てた「2」と「6」のろうそくに火を灯すと入寮者たちが一斉にハッピーバースディを歌い出した。彼らは雪だるまでさえも理解できていなかったようであるが、初めて目にするデコレーションケーキクリームに感激し、大満足の表情でたくさん食べていた。その姿を見て、クリスマスの愛、喜び、感謝をしっかりと感じることができた私だった。

カンボジア派遣ワーカー 諏訪惠子(女性シェルター活動)