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10年度総主事通信⑪

2011.03.11

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今月のコメント

●NZの被災地へのエール~“震災が繋ぐ世界”

 NZ大地震は多くの人々の命を一瞬にして奪い、被災者・遺族を生み出しました。「キリストの教会(Christ Church)」という名の町で起こった悲劇に、震災の体験者として、本当に心痛みます。恐怖は、その時の記憶を深い心の傷と共に“瞬間冷凍”します。統合失調症とPTSDの第一人者である中井久夫・神戸大学名誉教授(精神科医)は、「身体の傷は8カ月ほどたてば治るが、心の傷は40年たっても血を吐き続ける」と語ります。
 NZといえば、阪神・淡路大震災の時に同国ワイケヘ島の人々が約100人の被災児童を島へ招いてくれました。あの時、傷ついた子ども達がどれほどまでにその温かさに癒され、救われたことか。
 震災の年、イチローが当時所属したオリックス・ブルーウェイブのユニフォームの肩には「がんばろう神戸」のサインがありました。私達はその“一緒に”というメッセージに涙し、選手達の活躍に歓喜しました。
 NZのラグビーチームは、世界の強豪オールブラックスです。「オールブラックス伝統のマオリの戦いの叫びは日本人の耳には『ガンバッテ!』と聞こえる」(朝日2011.2.23)。私達も声と心を合わせて叫びたいと思います。「頑張って!」と。私達は「いつも一緒だよ」と。
 1999年にトルコ大地震の1ヶ月後、被災地ギョルジュクを訪れた時、「ギョルジュクもKOBEのように復興したい」という壁書きを見つけました。私達は“ギョルジュク”という町の名は知らなかったけれど、トルコの人達は“KOBE”を知っていた。そのことに感激し、「震災が繋ぐ世界」に心底励まされ勇気づけられたのでした。

●「・・・自分は誰のために死んだのか、と。」(日経 2011.2.26)~“未来を消された”子ども達の死

 中東・北アフリカ地域での民衆蜂起を契機に、アラブ諸国の位置・首都・元首・体制などを、改めて知った方々も少なくないのではないでしょうか。私達にとって「未知の世界」かもしれません。今リビアは激しい内戦状態です。「殉教者」を絶叫する最高指導者カダフィ大佐は公的な肩書もなく40年余り独裁を続け、憲法も議会も選挙もありません。自らの政治哲学の書「緑の書」によって統治するという、「独特」の国です。
 悲劇のうちの悲劇は、「子どもが子どもを殺す事態」です。リビア政府軍は戦闘機からの空爆や機銃射撃で反政府市民を殺戮し、主力は外国人傭兵であるとされています。殺される側は無差別、「子ども」も、です。
 「16歳傭兵『10日前にチャドから』」(朝日 2011.2.26)の記事が痛ましいです。「・・・リビアの南隣にあるチャドをカダフィ政権の使者が訪れ、『平和的なデモに参加するだけ』と言って人を集めた。だが、応じた人たちがリビアに入ると、『お前たちには戦ってもらう』と武器を渡されたという。・・・」(朝日 同上)
 「・・・アフリカ系の外国人傭兵の『死体が道端におかれている。若い兵士というよりむしろ面立ちに幼さを残す少年である。真新しい軍服が痛ましい。・・・リビアに出稼ぎに来た兵士はアフリカ各地の貧農の出身者が多いという。・・・道端の少年兵の目が問いかけている。自分は誰のために死んだのか、と」(日経 2011.2.26)

 「自分は誰のため/何のために生き、誰のために死んだのか?」。“戦争の道具”となった子ども兵士、標的として“未来を消された”子どもの無惨な死と無言の叫びの根っこ深くに、「貧困」という厳しい現実があります。
 「すべての国民が私を愛している。彼らは私を守るためなら死もいとわない。」(カダフィ大佐/Newsweek 2011.3.16)-“いのち”とは一体ぜんたい、誰のためにあるのでしょうか、、、。

●“国際女性デー”-UN Women/女性の平等を求める新たな声(2月25日 の記念イベントから)

 3月8日は国際女性デー。女性を尊重し、大切にする。その当たり前のことが当たり前のこととして行われますように。
 UNIFEM(世界女性開発基金)など4つの機関が統合され、今年1月1日に新生「UN Women」が誕生しました。初代事務局長のミチェル・バチェレ女史は、軍事政権下で逮捕・拷問を受け亡命、帰国後反政府活動を続けながら医師となり、チリ保健省やWHOで活躍。波乱万丈の末、チリ初の女性大統領になりました。

 「・・・バチェレ事務局長は『女性の権利を無視することは、世界人口の半分が持つ社会的、経済的可能性を失うことだ』という点を過小評価してはならないと参加者に呼びかけた。『若い女の子が学校に通えず、早すぎる結婚を強いられ、女性の働く機会は制限され、家庭でも路上でも学校や職場でもジェンダーに基づく暴力の脅威に日々さらされているような世界に生きることはもはや受け入れがたい』と彼女は語った。
 イベントに出席した国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シデベ事務局長は『UN Womenとともに活動することで、女性、女児の声を反映し、エイズ対策の充実をはかることが期待できます』と述べた。『エイズ運動と女性運動の共通の目的に向かって協力することで、女性とその家族に対するHIV感染の影響を大きく軽減することができるでしょう』
 女性のニーズに対応することは女性自身の利益になるだけでなく、いまだに発掘されていない可能性を解き放ち、社会全体を力づけることにもなる。しかし男女の不平等が広がっているため、女性は差別にあうことが多く、教育や医療サービスへのアクセスを拒否され、男性に比べると女性のために投入される資金も少ない。沢山の女性が暴力を受け、ウイルスから自らを守る能力を奪われているためにHIV感染の高いリスクにさらされている。UN Womenは広範な使命を担っており、世界の女性の生活を劇的に向上させることが期待できる」

 (国連合同エイズ会議より/仮訳:エイズ&ソサエティ研究会議  http://asajp.at.webry.info/)