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「釜石訪問」レポート 2012年4月7日~11日・5月7日~10日

2012.05.25

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                 今回もJOCSからの派遣により、4月・5月に釜石を訪問出来ましたことを感謝いたします。 釜石ベースで社協主催の、支援者を対象とした研修の3回目を今回も講師を務めさせて頂きました。カリタスジャパン、立正佼成会、日本リザルツ、曹洞宗青年会、クラッシュジャパン、社協生活支援相談員さん等24名の参加者でした。 今回は、「ケーススタディ」として、5人のグループに分かれ、各自が抱えている困難な事例、問題が未解決のケースを「問題解決シート」に書き出して頂き、グループでシェアするというワークをしました。 違う現場の方達でグループを構成し、グループダイナミズムの盛り上がりの中で、多様性に富んだ解決策への歩みを導き出されたようでした。参加者の皆さまのお陰で、現場のケースの共有と解決への照らしと、参加者同士の連帯を深める良い機会になったことを感謝でした。 遠野でも、ジャパンプラットホーム主催で支援者のための研修が4月に行われ16名の参加がありました。 上記と同様のシリーズの2回目で「自己肯定感を高める」と、支援を続ける中で「澱のようにたまった疲れからの解放」を目指しましたが、釜石ベースの参加者とはいささか反応が違い、急遽プログラムを二つ、間に盛り込みました。 これが生の現場の恐いところで、私もお陰で鍛えられ、その度に成長させて頂いています。勿論、参加者はそれと気づかず、喜んで頂いたようでほっといたしましたが・・・。 引き続き5月には、同シリーズの3回目「ケ-ススタディ」を行いました。15名くらいの参加者で、共にケースを考え、共有し合う中で連帯意識が高まり、全体でそれぞれが感じていることを分かち合い、その中で、深まり、成長し合うことを見せて頂きました。 こちらのグループは、ジャパンプラットホーム、遠野まごころネット、グッドネバーズジャパン、被災者支援電話相談員等の方たちで、キリスト者ではない若い年代層の方々が、遠野に居住し、陸前高田や大槌町に出向いてボランティアをして下さっています。 それぞれのいのちの中に神様がよいものをおひとりおひとりに備え、育んで下さっていることを感じ入りました。 また「ふぃりあ」( 釜石ベースキャンプにて地域の方々の交流や心のケアを目的に無料の喫茶スペースと手芸・将棋などの趣味コーナー提供)にて、いらして下さる方々のお話しを伺いました。 70代の女性:脳梗塞で手術をなさり、鬱病歴もあり、通院しつつ、独り暮らしのため、「ここに来て、コーヒー飲んでおしゃべりするのがたのしみなの。」と笑顔で仰います。 今回の津波で、以前住んでおられたところが被災され、出ることを余儀なくされ、けれど健康上の理由もあり息子さんの近くに住む必要があり、現在はお風呂もなく、洗濯機も置けない、トイレは共同のところに住んでおられ、日曜日に洗濯物をコインランドリーに持って行かれるとのことでした。 冬は、夜中に何度もトイレに起きるのが寒いのと、友人から途中で倒れても大変だからと・・・お部屋で、バケツに新聞紙を敷いて用を足しておられたとのこと。 お父様が尊敬できる方とのことで、ご本人も穏やかで、笑顔であれやこれや「つらい話」を語って下さり、ひとしきり話されると「またね。」と言って帰っていかれます。 震災後4月13日生まれの赤ちゃんMくんも、若いママに抱っこされてやってきます。震災の時には大きなお腹で寒くて、医療も必要なものも充分ではなく大変だったようですが、無事に赤ちゃんが生まれ、「釜石ベース」の支援物資で、食料もオムツも衣料も、そしてボランティア達の笑顔に・・・助けられ、すくすくと育っていかれたそうです。 今、よちよち歩きの愛らしいMくんのいのちに、神様の豊かな祝福を感じ、胸が一杯になりました。 沿岸部でほとんどの住宅が流された、鵜住居地区の方々の住んでおられる日向の仮設住宅に行きました。 釜石は、山と海に囲まれ平坦な土地が少ないため、川沿いにかなり山の方に上がっていったところに、10数件ずつの小さな仮設住宅が4ヶ所ありました。 ちょうどリンゴの花がきれいに咲いていて、山々の新緑とリンゴのピンクの花盛りと鳥のさえずりと、見事な自然の美しさでした。そこで出会った70代男性のRさん・・・子どものころの本当に貧しかった話を、語り部のように静かに話して下さいました。 12人兄弟の末っ子で、20歳離れたお姉さんが夜勤の仕事の時、あまりの寒さに暖房もないので、小さかったその方を一緒に職場に連れて行って、仮眠をとる時、湯たんぽ代わりに抱いて寝たそうです。そのお姉さんがお嫁に行かれた時、「結婚」の意味が分からなくて、毎日「帰るべし。」と言って、お姉さんを迎えに行かれたそうです。 貧しさの中で育たれ、現在は家も流され、仮設住宅に暮らしておられるその方の、佇まいと語りの真実の美しさに、聞かせて頂いた私たちの方が、本当に魂が癒されました。 物でも、この世の高みにあるものでもなく、ただ、美しい自然があるのみ のところで育まれることの豊かさを見せて頂き、その方を通して神様の御業の美しさに圧倒される思いでした。その方は、午後に「いつもお茶っ子でコーヒーご馳走になってるから・・・」と、90代の「ばっちゃんが作った甘酒」を差し入れて下さいました。 神様のなさり方は、いつも神秘です。「失くしたひとたち」から、私たちが頂き、自分の傲慢を、優しく正して頂きます。そして「失くし、はだかにされた人たち」の魂の中に、「神様の似姿」として創られた「人の美しさ」を見せて頂き、ひれ伏すような思いです。 どうか、これをお読みになられた方々が、引き続き、お祈りと具体的な支援でお支えくださいますように。 感謝のうちに  JOCS派遣:カウンセラー 白石仁美