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2012.10.04
釜石訪問レポート(2012年8月17日~19日、9月11日~14日) カウンセラー 白石仁美(JOCS派遣) <8月> 8月は、研修を兼ねてグァテマラに10日ほど行っていて、月命日(11日)の訪問ではなくなりました。その中で、私の魂を大きく揺さぶられたことを記したいと思います。 「ふぃりあ」(釜石ベースのお茶っこサロン)によく来て下さる女性で、心に障害を持った、障害手帳を持たれているAさんがおられます。 ユーモアのある、人懐っこい、歌の大好きな方で、コーヒーを飲みながらおしゃべりをしたり、ある時は、スマップの歌に合わせて、CDの前に立って、ひとりで歌ったりしていました。 ある時、支援物資の楽譜があって、ギターコードがついていたので、彼女が歌を歌い、私がそれに合わせてギターを弾きました。 歌謡曲、演歌、中には軍歌もありましたが、私も一緒に弾きながら、片っぱしから歌いました。 そうしていると、フルート(これも支援物資)を吹きに来ていた男性が、そこに加わり、なんとも素晴らしいセッションが始まりました! そのうち、アメイジンググレイスを英語で(カタカナで字をふって)、彼女が自由にパートをつけて歌い始めました。 フルート、ギター、英語でパートに分かれて、アメイジンググレイスを何度も何度も練習しました。楽しくて、楽しくて、わたしたちも、周りも幸せな気持ちになりました。 そうすると、音楽好きの神父が「さだまさし」の曲を、そらで覚えていて、私からギターを奪い弾きだし、Aさんは絶好調で歌い出し、私は手持無沙汰になったので、ウェットティッシュのプラスティックのケースを、ドラム代わりに叩き始め、そこにいた、みんなが歌や指揮や、思い思いに加わり、賑やかな音楽隊になって盛り上がりました。 皆、顔が上気し、心から楽しかったです。 私は打ちのめされました。 「傾聴」・・・お話を大切に聴かせて頂く・・・そんなことよりも、お互いが心を開いて、喜びあえる、そこに何の「してもらう側」という構図はありません。 ただ、ともに歌い、楽を奏し、喜びあう・・・そこで、魂がよろこび、元気になっていく・・・何て素晴らしいんだろうと思いました。 無欲の「Aさん」を通して、私たちボランティアが逆に、豊かな時間を頂きました。色々なものを剥ぎ取られた、この地に来ると、このような逆説的な「美しい空間」に、突然放り込まれます。 何だかみんな神様の前で子どものようになって、キリスト者じゃない人から、逆に私たちが「ありのまま受け入れられていること」を感じさせてもらい、色々な垣根はどこかにすっ飛んでいます。 Aさんにとっても、「ふぃりあ」に来る時間が、たのしい時間になって幸いで、本当にこんな「真実の瞬間」を、神様ありがとう という思いです。 他にも、色んなプロジェクトが充実しています。 仮設住宅の「お茶っこ」の「ハンドワークカフェ」。手芸上手の婦人たちが始めたチームで、今は、パッチワークで大きなタピストリーを共同作業で制作していて、連帯と、創り上げる喜びがそこにはあり、何よりもその活動が自発的に生まれたことが素晴らしく、もと漁師町のおばちゃん達のパワーは頼もしく、嬉しくなります。 また、「ビーチプロジェクト」という、海岸の草取りやゴミ拾いをし、元の美しい海に戻すための活動もあります 。もともと、芭蕉が「ああ松島や、松島や・・・」と詠んだくらい、あのあたり一帯、美しい海が続いているところで、あの想像を絶する津波が起こったことが嘘のようで、熱い夏にも汗をかきながら、ボランティア達が海岸清掃に取り組んでいます。 <9月> 9/11~13は、私は、釜石ベースで「スタッフ養成研修」の講師を務めました。 カリタスジャパン仙台サポートセンター主催で、参加者は仙台サポセンスタッフ、カトリック東京ボランティアセンタースタッフ、釜石ベーススタッフ12名の参加でした。 支援が長期化してくると、ベースのスタッフが疲弊し、スタッフ間の人間関係の難しさが顕在化してきます。 支援者のための支援が必要と、総主事の大江さんからもご示唆を頂いておりましたが、検討を重ねて、やっと今回実現致しました。二泊三日で、16時間のプログラムを展開し、「自己理解」「傾聴」「自己表現」など、基礎的な心理領域もレクチャーしながら、ロールプレイ、グループワークを多く取り入れながら、構造化しながら研修させて頂きました。 結果・・・相互間の理解が深まり、それまでぎくしゃくしていた関係が受容し合えるものに変わったり、RPで「聞き合う」中で、自分の悩みを聴いてもらい、楽になったなど、全員から、よかった、満足したとの感想をいただきました。 長時間におよび、ハードだったと思いますが、参加者の資質に恵まれ、ふたりのシスターの参加者も含めて、祈りの内に支えられ、本当に豊かな充実した時間を、私自身過ごさせて頂きました。 実は、明日からも顔を合わせるメンバー間でのセミナーは、一方で難しさもあるのですが、昨年の7月より15回目の訪問で、私と参加メンバー間での信頼関係が構築された上で、この様な機会を頂きましたことは、幸いでした。 今後、来訪時に、スタッフのカウンセリングなどを要請されていますので、喜んでお応えしていきたいと思います。 特筆すべきは、その間に、JOCSの精神科医、森数美氏が釜石にボランティアに来られたことです。 自費で、夜行バスで、全く謙遜に、かつユーモアに満ちたお人柄は、みなさまご存知の通りで、いつもながら頭が下がるばかりでした!! 尚、月命日(11日)の追悼の「テゼの祈り」は、CDも出しておられる援助修道会のSr.山本紀久代が釜石ベースのスタッフになられたおかげで、大変豊かな、美しい祈りの集いとして深まりました。 みなが静かに心を合わせ、主のみ前に座り、深く主を味わいます。 この度も様々な体験を主の内にあって頂きましたことを、心より感謝のうちにご報告させて頂きます。
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