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総主事通信⑧11月コメント

2006.12.15

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 「みんなで生きる」12月号の総主事デスクにも書きましたが、毎年12月1日は「世界エイズディ」です。
「世界のHIV/AIDSの現状(UNAIDS/WHO統計2006)」のデータがBorderless IssueであるHIV/AIDSを物語ります。

★HIV感染者数3,950万人(3,410-4,710万人)
★05年新規HIV感染者数430万人(360ー660万人) 
★05年AIDSによる死亡者数290万人(250-350万人)
―( )は、推計値であり、推計値の範囲に実数が存在します―

日々状況は刻々と変わり、エイズを取り巻く環境はより厳しく深刻化しています。「命が危機にさらされているというSOS」がそこにあります。一方では、先進国の一員である日本では十代・二十代を中心に唯一感染率が高まっているとのデータがあり、危機は足下に迫っているにもかかわらず、常にこのことは「対岸の火事」として受け止めている私たち日本の社会があります。

03年世界エイズデイでのエイズ撲滅コンサート46664(南ア)でマンデラ元大統領は、
「私はかつて『46664』という囚人番号で呼ばれていた。私は単にナンバー(番号)だった。世界中のどの紛争や戦争よりも多くの人々がエイズによって亡くなっている。そのことから私たちは目を背けてはいけない。エイズは『人権』の問題なのだ」と語り、鋭く私たちが生きている世界と国際社会を訴えました。

04年7月にタイで開催された第15回国際エイズ会議のテーマは、「”ACCESS for ALL”-万人へのアクセス」でした。しかしそれとはほど遠い現実があります。グローバリゼーションの一側面として、様々な格差が拡大し、貧困という構造的な暴力によって人々が生きる権利を奪われ、明日が見えない状況と言えます。私たちが活動しているネパールでも、カンボジアでも。あるフォトジャーナリストは言いました。カンボジアにおけるエイズは「静かなる内戦」であると。

現在来日中のロックバンドU2のボーカリスト・ボノは、「アフリカを『ホットケナイ』。我々は日本を必要としている」というメッセージと共に朝日新聞で以下のように語っています。
 「予防も治療もできる病のために、1日約8千人が死に続けている。1ヶ月に1回インド洋大津波が、1日に2回、世界貿易センターの(米同時多発)テロが起きていると想像してほしい。この狂った現実を放っておけるのか」(朝日新聞、06年12月1日(金)朝刊)

★ボノ―85年のエチオピア飢餓救済コンサート「ライブ・エイド」を期にアフリカの支援活動を始めたアイルランド出身のボーカリスト。ノーベル平和賞の候補にも挙がっている。06年12月4日付け日経新聞「春秋」でも紹介。

今一度「命の問題」として、またグローバル(地球規模の)・ローカル(地域の)・ボーダーレス(国境を含めすべての境界線を超えた)視点からHIV/AIDSの問題を捉えたいと思います。HIV感染者-これは「JOCS今後5年間の方針」でも掲げている焦点であり、「命と向き合う」団体として避けて通れません。「みんなで生きる(世界)」の実現のために。