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総主事通信⑩コメント

2007.02.09

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●キリスト教一致祈祷週間:07年1月18日~25日―日本キリスト教協議会・カトリック中央協議会
 キリスト教一致祈祷週間は、1908年にポール・ワトソンによって提案された、諸教会やキリスト教共同体の諸団体が8日間の聖書の黙想と祈りを通して、一致を目指すものです。
 今年の聖句は、“耳の聞こえない人を聞こえるようにし、口の利けない人を話せるようにしてくださる”(マルコ7:37)でした。今年のテキストは、「南アフリカのウムラジ・ベキテンバの信徒・牧師・司祭によるエキュメニカルなグループによって準備された」、とあります。一致を阻むものは、対立・分裂・無理解・無関心など様々な事柄でしょう。聴く耳で聴き、見る目で見、心を開き、受け入れることの難しさと大切さを考える貴重な1週間でした。
 今年の聖句は、イエスによって癒された人の物語ですが、まさに私たち自身に向けられた言葉に他なりません。

●キリスト教一致祈祷週間について(補足説明)
 1993年にデズモンド・ツツ主教は、第5回信仰と職制世界大会で、アパルトヘイト時代に指導者たちは「分裂した教会はアパルトヘイトに対して無力である」ことを学んだと述べました。今日、HIV/エイズやその他の人間性を奪う様々な力に直面しながら、分裂した教会はこうした問題に対しても無力であることが認められています。ウムラジには、裁判所も、病院も、郵便局も、診療所も、商店街も、そして墓地も、一つしかありません。それは、人々が直面している問題の圧倒的な大きさを反映しています。
(07年度キリスト教一致祈祷週間テキストより)

●ある国のこと
 3600万人が貧困状態にあるが、その中には1400万人の子どもが含まれ、うち700万人は6歳未満である。2700万人は読み書きの能力が不十分なため就労に適さない。400万人が健康保険に加入しておらず、30万人がホームレスである。10代の妊娠・中絶・麻薬使用・暴力行為、及び有毒物質の放出量は先進国中で最高値を示している。さらに収監者数は、中国と往年のソビエトにおける強制収容所をしのいで世界一である。(ポール・ホーケン:イマジン―未来への想像力「非戦」(幻冬舎)

 これは、どこかの開発途上国のことではありません。あの世界一のスーパーパワー、アメリカのこと(データは2001年)を示すデータです。「貧困」は「ここにも」あります。
 では、日本は?今、日本を覆っているのは、「精神の貧困」「関係性の貧困」かもしれません。毎日報道される心痛むニュースの数々。そこには「命」がないがしろにされている閉塞状況があります。

 JOCSは、「今後5年間の方針」で、まず第一に「平和の実現」を掲げています。それは、憎しみや争い、そして「暴力の連鎖から生み出される「貧困」のからの解放によってなしえます。そこに「一致」という希望が欠かせないことはいうまでもありません。私たちは、そのことを視野に入れ、実践を通して、平和をつくりだしていきたいと思います。
 マザー・テレサは、あるとき、「あなたのような影響力のある人が、戦争反対に何故声を上げないのですか?」と問われました。マザーは、「私は、戦争反対という活動には参加しません。しかし、平和賛成という活動には喜んで参加するから、いつでも声をかけて下さい」と応えたそうです。「反対(No)」ではなく、「賛成(Yes)」という生き方を、というメッセージです。私たちもそのように変われるでしょうか、、、。