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総主事通信⑫コメント

2007.04.02

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3月のトピックについてご紹介したいと思います。
●3月22日は「世界水の日」―コフィ・アナン前国連事務総長のメッセージ(2002年3月20日)
「11億人が安全な飲み水を利用できず、25億人が適切な衛生設備を利用できないと見られています。また、水関連の病気で死亡する人々は毎年500万人を超えると推計されていますが、この数は、年間平均の戦死者数の10倍に上ります。水は無限にただで利用できると考えられることがあまりにも多いのですが、水が十分あるいは潤沢に供給されている場所でさえ、水質汚濁や需要増大による危険性は高まっています。2025年までに、世界人口の3分の2は、中程度あるいは深刻な水不足を抱える国々で暮らす可能性が高いのです。各国の熾烈な水資源獲得競争により、水の問題が暴力的な紛争の火種を内包しているとの恐怖が生じています。」
「水」は、まさに私たちの「命」に欠かせないものです。

●3月24日は「世界結核ディ」―“結核 誰もがかかる どこにでもある TB anywhere is TB everywhere”(WHO 2007)
「世界では、毎年900万人が結核を発病し、170万人が結核の犠牲になって死亡している。特に、HIV感染率が高いアフリカでは結核が増加し、深刻な問題を引き起こしている。さらに多剤耐性結核・超多剤耐性結核が脅威となっている」。との警告が発せられています。かつて日本で長く死因の第1位を占めていた結核は、「過去」のこととして忘れ去られ、「無関心」によって、今も世界各地で進む静かなる脅威と言えます。
WHOは、「ストップ結核世界計画(2006-2015)」を定め、80万人の多剤耐性患者を含む5000万人の結核患者の治療を行い、1400万人の命を救うことを目標としています。

●「地下足袋の詩―歩く生活相談18年」(入佐明美著:東方出版)からー釜ケ崎中高生プログラム(3月31日―4月1日)に際して
(入佐さん) 「同じ路上で何故このような不平等があるのだろうか?共に生きるって、口先で言ってきたけど、どういうことだろうか?共に生きるということからあまりにも遠くにいる自分、そこからどうすることもできない自分。-私って、いったい何なのだろう?・・・」
 (横田さん:仮称)「おれもアル中で、何箇所かの病院に入院したんや。そのなかで、今でも忘れられへんことがあるんや。・・・実はは、A病院にSという先生がいるんや。おれがA病院に入院した時、救急車が重症の患者を運んできたんや。その患者は血を吐いていて、今にも窒息しそうになったんや。S先生が「吸引器」ちゅうて叫んどるんやけど、間に合わへんのや。そしたらな、先生がその患者の血を口うつしに吸ったんや。あの患者は結核だったかもしれんで。服は汚れてドロドロやった。おれはな、S先生がおれたちみたいな労働者にあんなにまでしてくれた姿を思い出すと、よし!がんばるぞと思うんや。ほんまにええ先生や」
 (入佐さん)「私は身の引き締まる気持ちでーもし、私がS先生の立場だったら、どうしていただろうか?と考えながら聴いていました。」                                 (「地下足袋の詩」からの抜粋)

入佐さんはこの本で(1997年に第1版)、釜ケ崎は、「10人に1人が結核を患い、年間300人が越冬できずに亡くなる町」だと書いておられます。私たちは国外だけではなく、「内なる共生」の問題、「生きる」こと、「痛み」そして「つながり」ということについて深く考えさせられます。私も20年ほど前、故岩村昇先生から「ネパールに行く前に、もし釜ケ崎を訪れていたら、ネパールへは行かなかった」と伺ったことがあります。そのことは、今入佐さんに受け継がれています。本田哲郎神父のお働きとメッセージにも多くの問いかけがあります。この春の釜ケ崎中高生プログラムの参加者7名(リピーターとその兄弟姉妹)を本当に有り難く思っています。

新年度開始早々の4月30日(月・祝)に、第46回社員定期総会が開催され、決算その他総会に向けての準備に慌しい今日この頃です。07年度は新規ワーカー3名の派遣や「今後5年間の方針」の歩みが具体的に始まる年でもあります。皆様のご理解ご協力よろしくお願い申し上げます。