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09年度総主事通信①

2009.05.11

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今月のコメント

●アジア祈祷日2009<主催:アジア・キリスト教協議会(CCA)、日本キリスト教協議会(NCCJ)>
 2009年度のアジア祈祷日のテーマは、「涙のしずく」です。

 「スリランカでは、シンハリ族とタミール族の内戦が今も続いています。政府軍とタミール・タイガー(LTTE)の対立によって、何千という市民が東北部に移動させられています。皆、恐れの中で生き、身代金目当て、また口封じのための拉致と失踪事件が後を絶ちません。スリランカのキリスト教徒は人口の7%に過ぎませんが、シンハリ・タミールの両者を信者としてもつ唯一の宗教です。スリランカのキリスト教協議会は、平和と和解の器となり、苦しみ苦闘している人々と連帯しています」(アジア祈祷日2009・東京集会の案内より)

 私はインド洋大津波の後、壊滅的なダメージを受けたスリランカに2回行きました(紛争地である東北部にも)。巨大な津波被害の生々しい傷跡に加えて、長年の内戦(多数者vs少数者、仏教vsヒンズー教他歴史的にも複雑な要因有)により、民族間の憎悪と殺りくに疲弊した様子を目の当たりにしました。対人地雷・少年兵士・誘拐され売り買いされるTSUNAMI孤児たちの問題にも遭遇しました。津波当時休戦状態にあった政府軍とLTTE。今また対立が激化し、人々が「人間の盾」として利用される悲劇が繰り広げられています。津波の際も、そして紛争でも、多くの幼い子ども達が犠牲になっている事実は衝撃です。私達はどこまで愚かなのでしょうか?
 今年度のテーマ:「涙のしずく」に、心揺さぶられます。祈りを通じて苦難にある人との連帯を、まず。

●「人間の盾」
 「人間の盾」(Human Shield:軍事・政治用語)は、攻撃を留まらせるための民間人の存在のことで、第4回ジュネーブ協定で禁止されています。歴史的には第2次世界大戦に遡るようです。先日のニュースではスリランカの「人間の盾」は10万人以上(時事通信)と報じられました。今パキスタンでも、パレスチナでも、かつてのイラクでも、あらゆる戦闘で利用される人間の命。
 
 世界の人口は67億8366万7880人を超えました(日本時間09年5月11日正午現在)。「世界の人口は1分に140人・1日で20万人・1年で8000万人増加し、世界中で、1年で6000万人が亡くなり、1億4000万人が産まれています」(国連統計より) 一人ひとりの大切な命、67億8226万7880通りの人生があります。それぞれに喜びがあり、それぞれに悲しみがある。やがて68億にならんとする「生きている数字」は刻々と動き続けています。今この瞬間にも。しかし、「盾」という道具でしかない人間とは一体何でしょう?命を救う人がいれば、奪う人もいる、それが世の摂理なのでしょうか?
 
 「天が下のすべてのことには季節があり、すべてのわざには時がある。生るるに時があり、死ぬるに時があり、・・・殺すに時があり、いやすに時があり、・・・愛するに時があり、憎むに時があり、戦うに時があり、和らぐに時がある」旧約聖書 伝道の書・第3章1節~)
 
 この地球上には、今日を生きながら、「明日が来ることが奇跡である」という人も多く存在します。命を尊ぶ、という愛の行為が世の隅々にまで行き渡るまでに途方もない「時」が必要でしょう。しかし、必ずその時が来る、と信じて日々歩みたいと思います。

●“This Day of Change”(希望の一日)-クーリエ・ジャポン(講談社)
 「2009年1月20日―オバマが米大統領に就任した日、世界79カ国、132人の写真家たちに“HOPE”をテーマに撮影を依頼。危機の時代にこそ全ての人に届けたい、『希望の欠片(かけら)』を集めた一大プロジェクト」と銘打った講談社100周年特別企画です。
 友人でバンコク在住のフォトジャーナリスト後藤勝さんと由美さんが関わっている関係で知りました。後藤勝さんは、中南米での活動の後、カンボジアの内戦終結までの記録やその後のエイズ・児童売買などの社会問題を追い、最近は日本の中の人権問題を撮り続けています。

 132人の写真家から1000枚を超える「その日、その瞬間」が寄せられました。一つひとつの写真に言葉があり、力があります。すべての孤有の現実と「生」があります。主題通り、大統領就任式に沸くワシントンの光景もあります。パレスチナの病院で生まれた新生児。グアテマラで暴力の連鎖を断ち切って神と家族の愛と出会った障害のある女性。「タイタニック(誰も覚えていない沈没船)」と呼ばれる居住区で、市民ではなく「難民」として生きるアゼルバイジャン人。悪夢のサラエボで、戦闘員でもなく、芸術家でもなく、「標的」であった人々。「希望は確実にある」というケニアの人々を写したアイルランドの写真家。その日、刑務所から出所したドイツの若者。
 それぞれの今は、それぞれの過去であり、それぞれの未来でもある。それは等しく保障されるべきです。