HOME>ニュース>09年度総主事通信②

ニュース

09年度総主事通信②

2009.06.06

シェア ツイート

今月のコメント

●「足跡は消えても~ハンセン病史上のキリスト者たち」(ヨルダン社・森幹郎 著)

 日本は「らい予防法」が廃止(1996年)されるまでの約90年間、施設入所をさせる隔離政策をとってきました。明治時代に全国各地に国立療養所が設立されて100年。21世紀に入りやっと「ハンセン病違憲国家賠償請求訴訟」の判決(2002年)で長年にわたる国の隔離政策が誤りであったことが認められましたのでした。

 本書が取り上げた時代は、明治・大正・昭和戦前期(19世紀末~20世紀前半)です。著者の森氏は若き日のハンセン病患者との運命的な出会い(1941年4月8日)を経て、邑久光明園の職員となられた方です。
 ハンセン病と関わってきたキリスト者はカトリック・聖公会・プロテスタントなど様々で、「患者と共に生きる道を選んだ人々」でした。そしてそれらの人々は、「多くの場合、家族からも別れた、独り行く道であり、『らい対策を変革していく力』にも劣らない『内なる力』が必要であった。」と記されています。

 JOCSもその歩みの中で、ハンセン病と深い関わりがあります。今年邑久光明園は、100周年を迎えます(畑野常務理事は今年4月から同園の園長に就任)。3月下旬に、邑久光明園を訪れる機会(3度目)がありました。
 瀬戸内海を臨む石碑に目を留めました。「かぜと海のなかへ」「隔離から解放へ」と刻まれています。入所された方々の絶ち難いご家族への想いと望郷の念に思いをはせました。邑久光明園と陸地は長く分断され、渡し舟が唯一の「つなぐ」手段でした。そこに橋がかかって行き来が出来るようになったのはほぼ20年前です。

 以前、あるTV番組でハンセン病患者の方とご一緒したことがあります。その方は、「『あなたの病気は治癒した』と言われながら、その後50年もの間、隔離された。私の50年の人生を返してほしい」と、心を絞り出すように語られた言葉が心深く突き刺さったままです。
 
●梅山猛・初代ワーカー(インドネシア派遣:1961年~)と京都大学YMCA地塩寮(ちえんりょう)

 先日、JOCS初代ワーカー・梅山猛氏より、貴重な資料と共にお話を伺う機会に恵まれました。JOCSは同ワーカー派遣のための母体として設立されました。従って梅山ワーカーの医療奉仕の決意がJOCS設立の原動力となりました。大激動時代のインドネシア。草分けの時代、ご家族共々に尊いお働きに深い敬意を表します。

 当時、財政的にも極めて困窮していた日本キリスト教医科連盟(JCMA)とキリスト教界の状況にあって、梅山ワーカー派遣に際し、JCMA高井俊夫会長(当時)は以下のように苦悩を語っています。
 「内なる聖なる者の召しの声のままに、我々は今御前に立って、困難に満ちたインドネシア医療伝道の可能性について考えている。私たちの群である日本キリスト者医科連盟の実態を知れば知るほど、その姿は、立ちはだかる絶壁を前にして、これをよじ登る小さな登攀者たちの姿にも似て哀れである。聖なる者の呼び声が私たちの心を浸し、泉のごとく溢れていざ立てと命じ給う。此の弱き群に力を与えたまえと祈らざるを得ない。」(梅山猛氏 「インドネシアに派遣されて~JOCSのはじまりの頃」より) その派遣は大英断だったのでした。

 翌日、京大YMCA・地塩寮にて「JOCSと学生YMCAの歩み」についてお話をする機会が与えられました。
 JOCSの原点である中国難民救済施療団(1938)の活動後、日本キリスト教青年会同盟医科連盟(日本キリスト者医科連盟の前身)が結成された(1939)のは、この京大YMCA地塩寮でした。歴史的な場所です。梅山氏は、三高YMCA・京大YMCAのOB、主イエスに導かれた学生キリスト教運動の賜物として遣わされたのでした。

●児童労働反対デー(6月11日) 
 世界金融危機から就学児童を守り、貧困者のためにフェアプレーを~グローバル・マーチから
 世界のリーダーたちへの声明~<インド>

 世界100カ国約2000組織は、「児童労働に反対するグローバル・マーチ」が声明を発表(2009.4.22)。

 「世界的な金融危機を受け、途上国の貧困層14億人が厳しい将来と生活苦に直面している。過去の例を見ても、経済ショックと政治不安が、児童労働を増やし、学校への在籍率が左右されることは明らかだ。1998年のアジア金融危機では、フィリピンで10~14歳の子どもの就学率が低下し、児童労働者が増加した。インドネシアやタイでは女子の労働搾取が増加した。
 最近の経済低迷により、インドではグジャラート州スーラトのダイヤモンド産業で50万人以上の失業者が出た。多くの労働者たちは、非正規労働者であり社会的保護を受けられない。そのため帰郷し、子どもを退学させ、児童労働をさせている。ダイヤモンド・宝石産業協会が支援を提供しているのは正規職員だけで、就学支援を受ける子どもたちも3万6000人にとどまっている。過去数カ月で、失業が原因で71名の自殺者が出たとの報道もある。」
 (ACE児童労働メールマガジン Vol. 137より)

 子ども達の命を最優先にすることは、キリストの平和。子どもを脅かすすべてに、断固Noを!!