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カンボジアの人身売買

2010.06.11

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先日、カンボジアで人身売買・性的搾取の被害者に対する支援活動しているNGOの報告会に参加しました。その中で被害に会いシェルターに保護された少女たち(25歳未満)のほとんどが“両親”という言葉に触れただけで哀愁の涙を流す、という報告がありました。
 これを聞いて、私が活動しているレナセール・シェルターに入寮する女性たちは年齢が上だからなのか、被害背景の違いなのか、既に母親という立場になっているからなのか、そのように両親に対して涙する人はほとんどいないなと思いました。幼いころに両親を亡くしていたり所在が分からないというケースも多く、それも関係しているのかもしれません。でも、私は彼女たちの心の奥にも必ず両親への思いはしっかりあり、周囲の人が簡単に分かるような表現をしていないだけなのだろうと考えています。そして、両親への大きな思いはあるものの、現実の中で厳しさと戦い先に進むしかないという思いで強く生きていることを感じます。
 人身売買・性的搾取の被害を受けたカンボジアの少女や女性たちが両親を愛しく思う心を失うことなく、傷ついた心と身体の健康を取り戻し、夢と希望をもって力強く社会へ復帰してほしい。また、レナセール・シェルターに子どもを同伴して入寮する母親たちが傍にいる我が子を通して自分を産んでくれた両親を考え、過去の辛さ、苦しさだけではなく、感謝できる心に触れてほしい。そして、ひとりひとり生きる道の中で弱さや違いがあっても与えられた大切な命を精一杯響かせていってほしいと思います。

カンボジア・ワーカー 諏訪惠子(女性シェルター活動)