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東日本大震災 被災地視察(5月4日~9日)報告

2011.05.19

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未曽有の東日本大震災発生後、2か月以上たった。JOCSは、3月中旬から仙台市内の避難所で巡回診療を行った後、3月下旬からは岩手県・釜石で被災者支援を続けている。このたび、被災地の現状とJOCSの支援活動の視察の機会を得たので、そのご報告をさせていただきたい。

1.目的
①岩手県・釜石エリアの被災地の現状、JOCSの被災者支援活動の視察
②日基団東北教区被災者支援センター(仙台/エマオ)の活動、及びJOCS からの支援に関するモニタリング
③今後のJOCSの支援の在り方を検討するための情報収集

2.活動概要
<岩手県/釜石エリア>
①日本基督教団新生釜石教会前の仮設テントでの「街角保健室」

②避難所(釜石市民体育館、中妻体育館、釜石市中学校体育館)での巡回診療(毎日夜間)
釜石市民体育館に看護チームが常駐し、計3か所の避難所の夜間巡回を行っている。

③孤立集落での巡回診療
尾崎小学校/白浜地区(週4日)、箱崎地区(週1日)

<宮城県/仙台・名取エリア>

日本基督教団東北教区被災者支援センター(エマオ)の支援スタッフ(週3日勤務)サポート

3.被災地の状況
岩手県の湾岸エリアはいずれも壊滅的なダメージを受けており、地域によっては地震・津波に加えて火災の被害が重なった。海岸から5キロ近くの高台の麓まで津波が届いた地域もあった。ほぼ手つかずの瓦礫の山状態にあるエリアも多く、復旧すらままならない状況に、今まで見たこともない無惨な光景に言葉を失った。

仙台市荒浜地区は、津波によって見渡す限り一面で家屋や田畑などすべてが洗い流され、リアス式海岸の入り江を襲った津波被害とは様子が異なるが、甚大な被害の凄まじさに息を飲んだ。

阪神・淡路大震災とは異なり、「生き残るか、死ぬか」どちらかに二分され、負傷者がそれほど多くない、とのこと。いまだに行方不明者が多く、人口の約9割が溺死というエリアもある。

被災された方々、被災は免れたものの心に傷を負っておられる方々、生き残った故の罪責感(Survivor’s Guilt)、支援に携わっておられる方々、それぞれの体験を伺う機会があった。その傷跡の深さに心深く痛んだ。
避難生活が長く、所によってはプライバシーがなく、またいつまでその生活が続くか将来が見えないストレスが高まっている。

避難所は徐々に規模縮小が進んでいるが、その一方で仮設住宅の建設は遅れている現実がある。
一方、避難所で新しい出会いがあり、互いに気遣いがし合える関係で支えられている人もいる。

避難所に入ることを拒み、自宅に留まる人。避難所を何度も引っ越しせざるを得なかった人。避難所に留まりたい人。避難所から家族や知人宅へ身を寄せた人。仮設住宅へ移るべきか否か逡巡している人。様々である。

4.被災地の一コマ
JOCSは新生釜石教会の前の赤テントで「街角保健室」を開いている。行き交う人たちが立ち寄り、お茶を飲みながら話をし、ついでに心と体の相談も受ける、そんなオープンカフェ&クリニックである。あるご婦人が「家は基礎から跡形もなく洗い流された。夫も連れ去られたが、先日見つかった」と。
それを聞いていた同じく被災者の若者が「見つかっただけ良かったね。うちはまだ家族が2人行方不明のままです」と。さりげなく交わされるとても重い言葉。私たちはただ聴くばかりだった。

新生釜石教会を拠点に、JOCSネパールワーカーの楢戸医師、鍼灸師の資格を持つ僧侶、カリタスジャパン所属の「心のケア」チーム、そして淀川キリスト教病院の医療従事者や牧師など、多様な人たちが活動をしている。宗教・宗派を超えた協働の姿がそこにあった。僧侶は、瓦礫と化した仏壇の「魂を抜き」、解体する作業をしていた。様々な形の被災者支援があること、命の多元性、深さと広さと尊さを学んだ。

5.全体を通して
JOCSの現場は主としてアジア・アフリカなど途上国であり、医療に乏しい地域での活動が本務である。しかし私達は、国境で分け隔てはしない。微力ではあっても、苦しむ人々の何か支えや助けになれば、との思いは強い。
JOCSはキリスト教を基盤とする団体だが、宗教も分け隔ての理由にはならない。

たかだか1週間ほどの被災地視察ではあったが、見・聞き・嗅ぎ・肌で触れたことの現実が未だに整理がつかず、受け止められていない。
心も体も鉛の重さで支配されている。しかし、被災地で過酷な日々を過ごされている方々のことを思うと、居たたまれない。燃え尽きかねない状況で支援に携わっておられる方々のご苦労にも心痛んでいる。これからも何ができるか・何をなすべきかをじっくり考え、かつ祈りを合わせていきたいと思う。

以上。

JOCS 総主事 大江 浩