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11年度総主事通信 ②

2011.06.16

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今月のコメント

●被災地・釜石にて~釜石出張(6月2日-4日)から

 115年前の昨日、1896年6月15日。函館司祭教区のパリ外国宣教会のリスパル神父は、盛岡からの宣教旅行の途上、釜石で大津波に襲われ殉職しました。29歳でした。「死者:釜石 4,041人、岩手県内 18,158人、最大津波 24.4m・・・」―明治三陸大津波の記録です。歴史的な悲劇が繰り返されました。
 今カトリック釜石教会は、「カリタス釜石ベース」として被災者支援を行っています。そしてJOCSはカリタス釜石の活動に協力する形で支援を続けています(JOCSは海外でもカトリックと協働しています)。
 カトリック釜石教会の聖堂で、マザー・テレサの言葉と出合いました。

 「あなたたちができることは私たちにはできません。私たちができることはあなたたちにはできません。でも一緒になれば、神様のために何か美しいことができます」(マザー・テレサ)

 釜石を離れる日、近くの新生釜石教会で葬儀が執り行われました。その方は大津波の犠牲者でした。発見された時、「椅子に座ったままの姿だった」と伺いました。あの日から2ヵ月半後のご葬儀でした。
 「『風に乗せて、会えなくなった人に思いを伝えてください』―岩手県大槌町の庭師が震災後、自宅の庭に『メモリアルガーデン』を造り、『風の電話ボックス』を置いた」(朝日2011.5.9)

●「原発にさようなら」(ベルルスコーニ首相)~“そこから、平和を考えたい”

 「・・・(大震災後の3月13日)原発から直接4キロほどの病院前で、再検査すると・・・ガリガリガリと検知音を発し、瞬時に1000マイクロシーベルト表示を振り切ってしまったのだ。『信じられない。怖い』私は思わず声に出していた。・・・最低でも東京の2-3万倍以上の放射能がここに充満している。・・・五官では感知できない放射能が襲っている・・・」(ジャーナリストたちは何を見たか。豊田直巳/岩波「世界」2011.5)

 私達は、何か月もたって背筋が凍るような事実を知らされています。当事者の言葉は、責任転嫁・意味不明・空虚・保身だらけ。警鐘を鳴らしてきた人達は無視または排除されてきました。結果、原発エリアはゴーストタウンと化し、被災者へはヒロシマ・ナガサキの被爆者と同様に差別の目が向けられています。
 世界では、ヒロシマ・ナガサキに加え、フクシマが記憶されました。イタリアの国民投票では反原発票が94.05%(投票率は54.79%)を占め、“脱原発”の審判が下り、今、フクシマが世界を変えつつあります。
 我が国の最大野党の幹事長は、欧州での反原発運動の広がりを「集団ヒステリー」と語りました。センセイがたには、原発の近くで住むか、仕事場を構えるか、たとえ数日間でもボランティア活動をするか、避難所で暮らすか、「体験学習」をお勧めします。「命の重さ」や痛みを体験するために。一昨日には、原発の避難区内の農場主が自らの命を断ちました。“衰弱死”、即ち“餓死”していた方も発見されました、、、。
 「透明な残酷」(民俗学者 赤坂憲雄氏)に苦しむフクシマ。
 “去るも地獄、残るも地獄”と選択を迫られた人達の苦悩は、センセイがたには他人事でしょうか。

 さてJOCSは6月3日の映画「ミツバチの羽音と地球の回転」(鎌仲ひとみ監督)の上映会(早稲田奉仕園 主催)に協賛しました。そしてJOCS50周年チャリティ映画会として「父と暮らせば」(黒木和雄監督、井上ひさし原作)を9月16日に行います。前者は瀬戸内海祝島とスウェーデンでのエネルギーの自立に取り組む人々の物語、後者はヒロシマの原爆投下から生き残った娘と「この世に舞い戻った父」の物語です。
 私達は、“そこから、平和を考えたい”、と思います。

●児童労働反対世界デー 「ファッションで世界を変える~危険・有害労働から子どもを守るために」 

 6月12日、「児童労働反対世界デー」 in 東京企画として、「寸劇+映画+スペシャルトーク+シンポジウム」がありました。映画は、バングラデシュの衣料工場で働く女児達がテーマでした。かつての日本の女工哀史のような女児達の過酷な労働現場やそれに抵抗する暴動(2006年5月―6月)が描かれていました。私と海外担当主事の川口さんは、その時ダッカで、その暴動から危うく逃れた体験があります。
 日本の私達の生活も児童労働と密接に繋がっています。食べる・飲む・履く・着る(例:ファストファッション)など色々な場で。私達の生活は“見えない所”で子どもの人権侵害に結びついており、危険・有害な労働(人身売買や性的搾取を含む)ですら日本と関わりがあります。結果的な“加害者”となりかねません。
私達は保健医療のみならず、女性と子ども達の人権や取り巻く社会問題も意識を向けたいと思います。
 悲劇とその連鎖を断ち切るため、私達が「子ども達の声」にならねばなりません。子ども達を飲み込む邪悪という大津波の「防波堤」にならねばなりません。

 ILOのグローバルレポート(2010年5月)「反児童労働行動の加速化」によると、最新の児童労働者数は、2億1500万人(5―17歳)で、世界の子どもの7人に1人となっています。児童労働に従事する子ども達は僅かながら減っていますが、その数は依然として多く、その根っこに「深刻な貧困」があります。
 子どもに笑顔を!!。“そこから・も、平和を考えたい”と思います。