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若い風たち 01

2011.10.18

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バングラデシュの宮川眞一ワーカーよりブログが届きました。
どうぞお読みください。

 8月に、二組の若者たちがCHCにやって来ました。一組は救急病院に働く看護師さんたち三人、もう一つは医学生のグループ二名です。いずれも私の報告会を聞いて、連絡をとってきてくれました。

 「若い人たち」という言葉を使い始めるのは、自分の「老い」を意識し始めた証拠なのかもしれませんね。

 看護師チームのお一人、木村さんは、バックパッカーの経験者で、大学では心理学を学び、その後社会経験を経て現在、看護師として働いておられます。私も二十五年以上前、初めて訪れたバングラでの体験を、彼にオーバーラップして、何とも懐かしく、しかしながら忘れかけていた思いを新鮮に受け取ることが出来ました。

今回、木村 拓未(きむら たくみ)さんの訪問記から転載したいと思います。
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 宮川眞一医師に初めてお会いしたのは2009年の2月。一時帰国され、「アジアの将来を考える会」での講演会でした。当時、看護学生であった私に講演会の存在を知らせてくださったのは、学生時代からの友人のお母さま。私が海外での医療活動に興味をもっていることを知り、誘ってくださいました。

 それから約2年半、今回、宮川医師を訪問させていただき、一般の旅行者では考えられないほどの貴重な体験をさせていただきました。今回の訪問に際しても、宮川医師をはじめ、JOCSの高橋様、チャンドラゴーナキリスト教病院のスタッフの方々に大変お世話になりました。また、アジアの将来を考える会のみなさま、中村悦子さんをはじめ、素晴らしい出会いをくださったみなさまに、深く感謝を申し上げたいと思います。

 私は2000年、20歳の時に大学(心理学専攻)を1年間休学し、東南アジアを中心に6ヵ月間、バックパッカーというスタイルで旅をしていました。帰国後、大学を卒業し、一般企業で働き始めても、旅の途中に目の当たりにした様々な現実に生きる人々(ストリートチルドレン、貧困や差別、難民問題、侵略の歴史など)と、物質的に貧しくても、笑顔が豊かな人々のことがどうしても忘れられませんでした。

 大学卒業から3年で会社を辞め、2006年、26歳で看護学校に入学、2007年には夏季休暇を利用してインド・バラナシのマザー・テレサの家で短期ボランティア。2010年に看護師資格を取得し、現在は救命救急センターで働いています。近い将来、途上国で看護師として働きたいという思いをいだき、悪戦苦闘する日々を送っていました。

 そんな時に思い出したのが、宮川医師の存在。講演会でのお話の内容はもちろん、少し遠回りをして医師になられたことなど、自身と重なる部分もあり、強い印象が刻まれていたのだと思います。次のステップとして、ボランティアではなく、仕事と途上国の人々と関わることを目標としている私にとっては、目標となる人でした。

 そして、今回、実際に訪問させていただいたチャンドラゴーナでは、数々の素晴らしい経験をさせていただきました。なかでも最も印象深いのが、地域保健制度の構築の過程を、色々な場面を通じて実感できた点です。

 Community Meeting(地域保健制度を村落に普及するための準備段階)、BMW(Basic Medical Worker・日本での保健師のような役割)の育成・活動、Mobile Clinic(簡易診療所)など、人々の健康を守るための制度づくり。一部はすでに現地のスタッフだけで運営されており、それが地域に根ざして、たくさんの人々が頼りにしている。母親たちが熱心にBMWの説明に聞き入っている姿に、感動しました。同時に、6年以上にわたる宮川医師をはじめとするスタッフの方々の奮闘を想像し、深い感銘を感じていました。

 様々な宗教・民族が混在するチャンドラゴーナの周辺地域で、これほど信頼されるシステムを作り出すのは、容易なことではないと思います。先進国の考え方や方法を教える・押しつけるのではなく、共存し、尊重しあう精神、様々な差異をすりあわせていく忍耐力と、粘り強い行動力を必要とする仕事であると思います。さらにそのシステムが雇用を生み、死亡率や重症化率が改善している事実に、私自身も大きな勇気をもらいました。
 そして、Community MeetingやMobile Clinicでの人々の眼差しに、「家族の健康を願う気持ちに、宗教や民族、国籍は関係ない。」と再認識することができました。

 そのほか、ハンセン病センター、チャンドラゴーナキリスト教病院、小学校、モハムニ母子寮などの見学、人々や自然から、様々なことを感じることができました。これから先、日本での生活においても、自身の目標である海外での活動のためにも、今回の経験を糧にしていきたいと考えています。そして、自身にできることを、一つずつ行動に移していきたいと思います。

 素晴らしい経験をさせていただいたこと、宮川医師との出会いに、感謝の意を込めて。そしていつか、全てのこどもたちが生きることに希望を持てる日を祈って。