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08年度総主事通信⑥

2008.10.06

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● テーマ:「笑顔はどこから」(2008年度NCCキリスト教教育週間) 10/19-26 協力:楢戸ワーカー&JOCS
「2008年度の教育週間のポスターは、ネパールの子どもたちの写真です。とても素敵な笑顔が溢れています。この子どもたちの生活環境は満たされ豊かなものとは言いかねる現実の中でもたくましく、そして力強く社会の一員として彼らは生きています。それはもしかしたら、人と人とが支えあい一緒に食べ、一緒に泣き、一緒に笑う生活を生きているからではないかと思います。
これこそが本当の生きる力の笑顔なのではないでしょうか。」(日本バプティスト連盟「聖書教育」2008年10.11.12月号より―宗野鏡子牧師:日本基督教団田園江田教会 NCC教育部 2008年度教育週間委員)  ★ネパールの子どもの生活を題材にした学習教材が作られました。

 今年のキリスト教教育週間の献金はネパールでの保健・医療活動のため(JOCSを通して)、またアジアのキリスト教教育推進のため(NCC教育部国際教育協力基金を通して)に用いられます。
 NCC教育部は、昨年100周年記念としてDVD「日曜学校から始まるキリスト教教育の歩み」を製作されました。かつて岩村昇ワーカーのネパールでの働きが取り上げられたこともあります。
イエスに示された生き方を子どもたちと共に分かち合う貴重な教育機会です。(別件ですが、昨年は日本基督教団教育委員会が、クリスマス献金の使途先としてJOCSタンザニアの母子保健活動を取り上げてくださり、220万円をご寄付頂きました)
途上国には絶対的な貧困、相対的な貧困が存在するかもしれません。けれど「みんなで生きる」世界がそこにあります。翻って日本はどうでしょう?関係性の貧困や精神的な貧困が横たわっています。つながりを失ったときに笑顔は生まれません。途上国の子どもたちの笑顔は日本の子どもたちにとっての恵みであり、可能性でもあります。もちろん私たち大人にとっても救いであり、希望なのです。

● 故・伊藤和也さんの死を悼む(ペシャワール会現地代表 中村哲氏の弔辞から)
「・・・私たちPMSは、極力アフガンの文化を尊重し、アフガン人がアフガンのふるさとで、アフガンのやり方で生活が出来るように、平和なやり方で、事業を進めてきました。繰り返しますが、『平和に』です。戦争と暴力主義は、無知と臆病から生まれ、解決にはなりません。
いったい、イスラム教徒であることが罪悪でしょうか。アフガン人が自らの掟に従って生きることが悪いことでしょうか。私はキリスト教徒であります。しかし、だからとて、ただの1度としてアフガン人から偏見を持たれたことはありません。良いことは誰にとっても良いことで、悪いことは誰にとっても悪いことであります。現に、このようにして全てのクズナールの人々が集い、異教徒である伊藤くんの死を悼んでいるではありませんか。心ない者はどこにも居ます。今回の事件でアフガン人と日本人の間に亀裂があってはなりません。・・・アフガン人も日本人も、親として、人としての悲しみに、国境はありません。命の尊さに国境はありません。・・・」
「・・・各村の有力者が弔辞を読み上げ、祈りをささげました。村人との結束はより深くなりました。」

● 寡黙な実践もって伝えた「平和」―憤りと悲しみを力に変え(ペシャワール会・現地代表 中村 哲)
 「平和は戦争以上の力であります。戦争以上の忍耐と努力が要ります。和也くんは、それを愚直なまでに守りました。彼は私に代わって、そして、全ての平和を愛する人々に代わって、死んだのであります。・・・和也くんを倒した暴力主義こそが私たちの敵であります。そして、その敵は、私たちの心中に潜んでいます。今必要なのは憎しみの共有ではありません。」(ペシャワール会報・号外:2008年9月16日 より)

 「平和は戦争以上の力」。この言葉を噛み締めたいと思います。憎しみを超える力、それは他者の痛みと命の重さを分かち合うところから生まれるのだと思います。私たちはその力を信じ、光を見出したいと思います。
 ところで、海外で起きる日本人に絡む事件では「同胞の命だけ」が注目されます。けれど私たちはその国の、その地の貧しさの故に、争いの故に無残にも奪われた(無名の)人の命へも等しく悼む気持、祈る心を持ちたいと思います。「みんなで生きる」は、そこから、ではないでしょうか。
 あのマザーテレサは、「私は、『戦争反対』という活動には参加しない。けれど『平和賛成』という活動には喜んで参加する」と語りました。“NO”ではなく“YES”という運動へ、私たちの発想の転換が求められています。