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カンボジア SALTプロジェクト 活動進捗報告No.5 第4年次の活動報告(2019年3月)

2019.04.23

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 201810月からプロジェクトは最終年(第5年次)となり、すでに終盤を迎えています。
4年次(201710月~20189月)は計画にそって小学校12校(うち新規3校)、中等学校5校(うち新規1校)で健康教育、思春期教育を実施しました。スタッフのインさんもすっかりベテランとなりました。児童、生徒たちは、インさんの話に引き込まれ、質疑応答も活発です。「テキストにある情報だけでなく、自分の経験も交えて話をしている。それが臨場感につながっているなら嬉しい」というインさんの頑張りで、授業の質が高まっている様子を確認できました。昨年(2018年)に訪問した小・中学校での様子をいくつか報告します。

レアッスメイソンカ小学校の授業風景

 バッタンバン中心部から車で1時間半ほどの農村地帯にあるレアッスメイソンカ小学校は、2018年から健康教育を取り入れました。対象となる6年生は31名(女子15名、男子16名)で、クラスには字の読めない子どもも複数います。このためテキストを音読させたり、書き取らせたり、内容を理解しているか確認すると同時に、文字情報に頼らずに写真や絵、対話から、健康に生活するヒントを伝えています。市街地と比べて農村地帯の生活環境や教育環境は厳しく、児童の体格も小柄ですが、健康教育を受けるときの真剣なまなざしは、どこに行っても変わりません。


思春期教育の様子

 思春期教育の対象は、学校毎のカリキュラムや校長先生の意向で中学2年生(8年生)の場合と、高校1年生(10年生)の場合があります。どの学校も男女合同で授業を行っています。動画やパワーポイントを活用して、男女の身体の仕組みや思春期の身体の変化、出産・妊娠、避妊、性感染症といった性教育、薬物・アルコールのリスク等を伝えています。出産シーンや性感染症の患部もそのまま映し、教え方は日本の性教育よりもかなりストレートです。バッタンバンでは若年での予期せぬ妊娠や性感染症、麻薬依存のリスクが高いことに配慮した内容となっています。
 また電話(フリーダイヤル)による生徒からの無料相談にもスタッフが応じています。コール数は月に2~3件程度で月経や体調不良等の相談が多く、症状に応じてクリニックの受診を促すこともあります。


メタカルナ中学校での思春期教育の授業の様子

 バッタンバン司教区のSALTプロジェクト責任者、シスター・クリスティナ・アンティンはSALTプロジェクトの思春期教育について、このようにお話くださいました。

“カンボジアではインターネットが急速に普及し、若者は氾濫する性に関する情報に翻弄されています。ですから中高生への思春期教育はとても大切です。生徒たちは性や麻薬・アルコール依存症などの正しい知識を伝える授業に積極的に参加しています。出産シーンを観たある女子生徒は「妊娠・出産を自分のこととして考えるのは少し怖いです。でもこんなに痛い思いをして母が私を産んでくれたことを知ったので、今日は家に帰ったら母にありがとうと伝えます」と、分かち合ってくれました。インの授業は生徒たちの心にも届いていると思います”

 

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