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活動内容

タンザニア ママ・ナ・ムトトプロジェクト 活動進捗報告No.8 (2022年9月)

雨宮ワーカーの活動日記

雨宮春子ワーカーは今、分娩監視装置を使った安全・安心なお産に取り組んでいます。聖ヨハネ・パウロ2世病院は、死産や新生児の死亡率がとても高く、すべての分娩が死産だった日もあると言います。分娩監視装置(以下、CTG)は、お産の時に赤ちゃんの心拍と陣痛の様子を確認する機器です。

実地研修に取り組む雨宮ワーカーの活動日記をお届けします。

5月中旬

●CTGを導入するための準備!倒したり、落としたりして故障を防ぐため、専用スタンドをつくることになる。色々アイディアを出し合って、利便性も考える。

ちゃんと大きさを測って、立派なスタンドが完成!

完成!

 

5月下旬

●今日から実地研修を開始。まずはシスターテレジアと看護師長補佐のカバゾに操作方法を教える。事前に、妊娠27週妊婦である看護助手のアクイリーナの協力を得ており、彼女の勤務中にCTGを装着させてもらう。アクイリーナの協力に感謝!

看護師長補佐のカバゾさん

 

 

6月初旬

●今日は、看護師長補佐のカバゾが講師となって、スタッフにトレーニングをおこなう。効果的に学べるようにと、シスターテレジアが少人数での研修を提案してくれ、毎日の朝礼時に当日の参加メンバーを指名することになる。初日は医師と医師補がメイン。みんな興味津々。朝礼後の短い時間にもかかわらず、積極的に参加してくれて嬉しい。

左の男性が看護師長補佐のカバゾさん

 

6月中旬

●5日前のお産の時に装着したCTGデータを使って、赤ちゃんの心拍を正確に読むためのケーススタディをおこなった。みんなで検討しながら赤ちゃんの状態を判断する事を試みる。話し合いながらトレーニングすることは、とても効果的で、参加者の積極的な意見交換が見られた。

 

●初めての出産をする産婦が入院。CTGを装着して赤ちゃんの状態を観察。しかし、間違えて赤ちゃんではなく、母親の心拍をキャッチしてしまっており、正確な赤ちゃんの心拍の観察ができておらず、生まれてきた赤ちゃんは亡くなっていた。赤ちゃんの状態から数日前にすでに亡くなっていたと考えられる。私自身も、正確に赤ちゃんの心拍をキャッチできているかの確認が不十分であったことを深く反省。今までもスタッフの多くが、赤ちゃんの心拍と母親の心拍をきちんと区別していなかったことが分かった。CTGやトラウベで赤ちゃんの心拍を観察する際に、母親の心拍と間違えないようにするためのトレーニングが必要だと感じる。

6月下旬

●朝10時。陣痛が始まった母親が来院。准看護師のオネスモがCTGをつける。一人できちんと装着できるようになった。赤ちゃんの心拍のデータを医師やスタッフたちと一緒に確認。今日はみんな積極的にケアに当たってくれてとても嬉しく感じる。
その後、赤ちゃんの心拍を正確に観察しながら、無事に出産!元気な赤ちゃんの誕生に感謝。

 

その日の夜7時頃、准看護師のイブラヒムから電話があった。すでに分娩は終了したが、一人でCTGをつけて分娩介助をしたけど、正確に赤ちゃんの心拍を判断できていたかを確認したかった、とのこと。正しく装着もできているし、判断もできていることを伝えた。「使い方を習得できたよ!これで、明日から暫く春子が不在になっても大丈夫。」と嬉しそうにそして誇らしげに話すイブラヒムの姿に感激する。

最近、少しずつ自分たちで考えて、ケアをしようとする姿勢がみられるようになってきた。死産や新生児の死亡が多い病院で、がっかりした事も、技術の限界を感じた事も多かったと思う。限られた資源の中で働く現地のスタッフとともに、安全・安心なお産を支え、一人でも多くのいのちを救える喜びを分かち合いたい。また日々成長するスタッフの姿を見る事も楽しみにしたい。