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HOME>活動内容>協働プロジェクト>ケニア 第二期シロアムプロジェクト(療育事業)>ケニア シロアムプロジェクト活動ニュース No.9 (2025年8月)
JOCSは2025年6月下旬から7月上旬まで、歯科医師髙井理人氏を短期専門家としてシロアムの園に派遣しました。髙井専門家の派遣は2023年に続いて2回目となります。今回の派遣では、歯科検診の実施と2年前の検診データとの比較、スタッフおよび保護者への口腔ケアの指導、準医師への齲蝕抑制剤(むし歯の進行止め)の塗布方法の技術伝達などをおこないました。
齲蝕抑制剤の塗布方法の指導
髙井専門家は、保護者への聞き取り調査をおこない、毎日歯を磨く、歯磨き粉を使う家庭が増え、歯磨きの習慣が改善していることを確認しました。また、髙井専門家は、7日間で46人の歯科検診を実施しました。70%以上の子どもたちがむし歯を抱え、平均して1人あたり約8本のむし歯がありました。ケニアでは、障がいのある子どもたちの歯科的な支援がまだまだ行き届いていません。前回の検診からむし歯の治療を受けた児は1人を除いていませんでした。治療に恵まれる機会が少ない子どもたちのため、髙井専門家はむし歯の進行止めを子どもたちに塗布しました。また、シロアムの園の準医師に対して塗布方法の技術を伝え、準医師が担えるようにしました。
スタッフ研修の様子
シロアムの園では、昼食後には子どもたち全員に対し歯磨きがおこなわれていました。歯磨きの後、うがいをさせていましたが、嚥下障害のある子どもの多くがうがいのときにむせていました。スタッフ研修では、髙井専門家は効果的な歯磨きの方法や、誤嚥のリスクがある場合はうがいを避け、代わりに口の中をガーゼ等で拭うことを重点的に伝えました。スタッフからは、「歯磨きのときに歯肉から血が出る場合はどうするか」など、多くの質問があり、口腔衛生への関心の高さがうかがえました。
髙井専門家は、歯磨きの指導をおこなうだけでなく、子どもたちの食事状況を確認し、食事の摂取方法や咀嚼訓練についても指導しました。
家庭訪問で視察したお宅では、食事の形態調整のために使用するミキサーが屋外に置かれてあるなど、衛生環境が良好とはいえない環境の中で生活していることがわかりました。話を聞き、想像はしていましたが、今回の家庭訪問で実際の生活状況の一端を知ることができました。このような点を踏まえて、シロアムの園での取り組みをどのように家庭で実施可能な形に落とし込んでいくのか、工夫が必要であると感じました。食事と口腔衛生は毎日のことなので、『理想的にはこのようにするのがよい』ということを伝えながらも、『実際にできるかどうか』という観点で、実現可能な指導をおこなう重要性を身にしみて感じました。
子どもたちや保護者、シロアムの園の皆さんと2年ぶりに再会できたことが本当にうれしかったです。子どもたちの中には私のことを覚えてくれていた子もいたようで、私の姿を見ると逃げ出す子がいたり、逆にこの2年間で歯みがきが上手になったため、上手に検診を受けられるようになった子がいたり、いろいろな形で子どもたちの2年間の成長を感じました。
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